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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成21(行ウ)16

事件名

 所得税更正処分取消等請求事件

裁判年月日

 平成23年2月4日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 出資先であるいわゆる任意組合等から生じた利益又は損失の額について所得税基本通達(昭和45年7月1日付け直審(所)第30号)36・37−共20の(3)に定める方式(純額方式)により納付すべき税額等を計算した所得税の確定申告に対し,同通達の(1)に定める方式(総額方式)により納付すべき税額等を計算すべきであるとしてした更正処分が,違法とされた事例

裁判要旨

 出資先であるいわゆる任意組合等から生じた利益又は損失の額について所得税基本通達(昭和45年7月1日付け直審(所)第30号)36・37−共20の(3)に定める方式(純額方式)により納付すべき税額等を計算した所得税の確定申告に対し,同通達の(1)に定める方式(総額方式)により納付すべき税額等を計算すべきであるとしてした更正処分につき,所得税法は,任意組合の事業活動から生じる損益及び個々の組合員に帰属すべき損益の計算方法及びこれに対する課税方法等については何ら規定していないため,これらについては専ら解釈に委ねられているものと考えられ,その計算方法としては,総額方式,純額方式及び両方式の中間である中間方式のいずれもが同法の解釈として許容されるところ,前記通達は,任意組合等の組合員の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する利益の額又は損失の額の計算方法につき,総額方式によることを原則とし,例外的に,継続適用を条件として,中間方式及び純額方式によることも認めるものであり,このような計算方法の取扱いは,課税実務の取扱いとして定着しており,同法の規定の文言及び解釈により一義的に決まらないことに照らし,所得税法の解釈を踏まえて所得計算方法の簡便化を図ったものとして,合理性を有するものであるとした上,前記通達は,その文言上,中間方式又は純額方式によるためには,中間方式又は純額方式を継続適用していれば足りるものと解すべきであり,前記申告対象である平成15年から平成17年までの間に,総額方式による計算が困難である特段の事情がある場合,又は総額方式による計算が実際上困難とまでいえない場合であっても,納税者が総額方式と比較して簡易な計算方法である中間方式及び純額方式を選択しても,当該納税者の租税負担が軽減されることがないなど,課税上の公平を害さない(課税上の弊害が生じない)限度においてのみ,中間方式又は純額方式による税額の計算が認められるということを前記通達から読み取ることは,一般の納税義務者にとっては不可能であったといわざるを得ないなどとして,前記処分を違法した事例

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