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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成22(行コ)339

事件名

 報酬支出差止請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成21年(行ウ)第231号)

裁判年月日

 平成23年2月9日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例により,都の選挙管理委員会の委員長及びその他の委員に対し,月額をもって定められた報酬が支給されていることは違法であるとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,前記月額報酬の支給の差止めを都知事に求める請求が,棄却された事例

裁判要旨

 東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例により,都の選挙管理委員会の委員長及びその他の委員に対し,月額をもって定められた報酬が支給されていることは違法であるとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,前記月額報酬の支給の差止めを都知事に求める請求につき,非常勤の職員に対し原則として勤務日数に応じて報酬を支給する旨を定めた同法203条の2第2項本文の規定は,非常勤の職員という地位に照らし,これに対する報酬はいわゆる生活給としての要素を含まない性格のものであること等を反映しており,同項ただし書の規定は,非常勤の職員には各種のものがあり,その従事する職務やこれを受けてのそれぞれの勤務の態様等は様々で,これらの職員に対する報酬を一律にその勤務日数に応じて支給するものとすることには問題があり,地方公共団体の議会の判断によりその報酬を月額等をもって定めることを許容する趣旨であるから,当該非常勤職員の職務内容及び勤務態様並びに当該地方公共団体における財政に係る個別的な事情等に照らし,報酬を月額をもって支給することについて,当該地方公共団体の議会の判断につき裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認めるべき場合もあり得るとした上,選挙管理委員会は,準司法的機能等を果たしており,その事務は相当程度に広範で専門性も高く,その委員の職務も,中立性,独立性及び公平性が要求され,広範な活動を行い,勤務の態様も多様であることを考慮すると,同委員に対する報酬について,単に会議に出席するなどした日数に応じて支給するといった方法によることが常に必ず具体的実情に沿うものとまでは断じ難く,日数によって一律には評価し尽くせない事由もあり,また,同委員に支給される報酬の額も,勤務態様,職務内容,担うべき役割,職責の重大さも考慮すれば著しく高額なものであるとはいい難いことから,議会の判断について,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとは認められないとして,前記請求を棄却した事例

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