裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成21(行ケ)10

事件名

 裁決取消請求事件

裁判年月日

 平成23年2月23日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 貨物船の船首と左舷前方から接近中の漁船の右舷船体中央部が衝突した事故について,地方海難審判所が,海上衝突予防法15条の横切り船の航法は適用されず,同法38条及び39条の船員の常務によって律するのが相当であるなどとして,前記貨物船の海技士に対してした三級海技士(航海)の業務を1か月停止するとの裁決が,取り消された事例

裁判要旨

 貨物船の船首と左舷前方から接近中の漁船の右舷船体中央部が衝突した事故について,地方海難審判所が,海上衝突予防法15条の横切り船の航法は適用されず,同法38条及び39条の船員の常務によって律するのが相当であるなどとして,前記貨物船の海技士に対してした三級海技士(航海)の業務を1か月停止するとの裁決につき,同法15条の横切り船の航法が適用されるためには,「二隻の動力船が互いに進路を横切る場合において,衝突のおそれがあるとき」に該当することを要するところ,両船の相対的位置関係からすれば,この要件に該当すると評価できるから,前記事故については同条の規定する「横切り船」の航法を適用するのが相当であり,そうすると,前記漁船が同法16条に定める避航船に該当し,前記貨物船の進路を避けなければならなかったなどとした上,前記海技士にも見張り不十分の過失が認められることは明らかであるものの,避航船である前記漁船の船長の過失が前記事故発生の主因と評価されるべきものであること,前記海技士が前記漁船を発見した後,探照灯を照射し,汽笛を吹鳴する等の警告措置を講じていることなどからすれば,前記裁決は重きに失し相当性を欠くとして,これを取り消した事例

全文