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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成23(行コ)46

事件名

 損害賠償請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成19年(行ウ)第82号)

裁判年月日

 平成23年9月8日

裁判所名

 大阪高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 市が人権教育啓発推進協議会に対し,同推進協議会の職員として採用された地域人権協議会の事務局長であり市同和事業促進協議会の事務局長であった者の給与等を補助金として交付してきたことは公益上の必要性を欠き違法であるなどとして,地方自治法242条2第1項4号に基づき,市長に対し,前記推進協議会及び前記職員に対して不当利得返還請求すること,市長個人に対して損害賠償請求することをそれぞれ求める請求が,いずれも一部認容された事例
2 市が同和会連合会支部にアルバイト職員を派遣しその給与等を支出したことは,公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律(平成18年法律第50号による改正前)2条1項に違反するなどとして,地方自治法242条2第1項4号に基づき,市長に対し,前記連合会支部に対して不当利得返還請求すること,市長個人に対して損害賠償請求することをそれぞれ求める請求が,いずれも認容された事例

裁判要旨

 1 市が人権教育啓発推進協議会に対し,同推進協議会の職員として採用された地域人権協議会の事務局長であり市同和事業促進協議会の事務局長であった者の給与等を補助金として交付してきたことは公益上の必要性を欠き違法であるなどとして,地方自治法242条2第1項4号に基づき,市長に対し,前記推進協議会及び前記職員に対して不当利得返還請求すること,市長個人に対して損害賠償請求することをそれぞれ求める請求につき,市が前記推進協議会との間で締結した同推進協議会が前記職員を雇用するに当たっての協定は,同推進協議会自身において前記職員を常勤職員として雇用する必要性も意思もないのに,市が,前記推進協議会を形式上の雇用主体として,前記職員に対し,非常に広範な職務免除を認め,かつ,職務免除中の前記人権協議会における勤務状況等をも吟味することなく,前記促進協議会の事務局長時代と同等の給与等を保障するためにあえて締結されたものであるというべきであることからすれば,前記協定は,これに付随する前記職員と前記推進協議会との間の雇用契約と併せて,地方自治法(平成20年法律第69号による改正前)204条の2,地方公務員法24条1項,同法30条及び35条,地方公務員派遣法等の各種規定を潜脱する悪質な脱法行為であり,違法性の高いものといわざるを得ず,公序良俗に反し無効であるから,前記補助金の支出は違法であるなどとして,前記各請求をいずれも一部認容した事例
2 市が同和会連合会支部にアルバイト職員を派遣しその給与等を支出したことは,公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律(平成18年法律第50号による改正前)2条1項に違反するなどとして,地方自治法242条2第1項4号に基づき,市長に対し,前記連合会支部に対して不当利得返還請求すること,市長個人に対して損害賠償請求することをそれぞれ求める請求につき,前記アルバイト職員は,前記連合会支部の事務所において,同連合会支部の事務一般を1人で処理していたものであり,その間,市の指揮監督は及んでおらず,その業務についての報告等も逐一行われていなかったことなども考慮すると,前記アルバイト職員は,前記連合会支部に派遣されていたものと認めるのが相当であり,当該派遣は公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律に違反するから,前記アルバイト職員に対する給与等の支出は違法であるなどとして,前記請求をいずれも認容した事例

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