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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(ワ)26475

事件名

 不当利得返還請求事件

裁判年月日

 平成23年6月27日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 独禁

判示事項

 指名競争入札において受注調整行為を行った会社と国との間で締結された石油製品の売買契約が公序良俗に反し無効とされたため生じた前記会社の国に対する不当利得返還請求権につき,原物返還が不能であるためその価格相当額の支払を請求する場合の前記価格の算定方法

裁判要旨

 指名競争入札において受注調整行為を行った会社と国との間で締結された石油製品の売買契約が公序良俗に反し無効とされたため,前記会社の国に対する不当利得返還請求権が生じたが,原物返還が不能であるためその価格相当額の支払を請求する場合には,公平の観念に照らして,原物返還不能時における前記石油製品の客観的価格が返還対象価格となり,前記会社が同価格について主張,立証責任を負うが,前記売買契約が各期ごとに多数締結されている上,同契約に基づく前記石油製品の引渡しも数回にわたることがあり,その引渡しに係る同製品の混和又は費消が当該物品ごとにいつ生じたものであるのかについて,前記会社としては通常関知し得ないことから,その相当な軽減を図る必要があるところ,前記売買契約締結時と原物返還不能時との間にはさほどの間隔はなかったと推認できること等を総合勘案すれば,前記会社において,売買契約締結時における前記石油製品の想定落札価格を主張,立証すれば足り,国において,同契約締結時から原物返還不能時までの間における有意的な経済事情による変動があり,その変動を反映しなければ適正な価格の算定が困難であるとか,想定落札価格は客観的価格を明らかに上回るとみられる確かな根拠がある等の特段の事情を主張,立証できない限り,当該想定落札価格をもって,原物返還不能時における前記石油製品の客観的価格であると事実上推定するのが相当である。

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