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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成23(行コ)366

事件名

 損害賠償(住民訴訟)請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成23年(行ウ)第83号)

裁判年月日

 平成24年6月21日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 職員の財務会計上の行為ではない職務上の行為が地方公共団体に対する不法行為に当たるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,当該職員に損害賠償請求をすることを地方公共団体の長に対して求める訴えの適法性

裁判要旨

 地方公共団体が第三者に対して有する不法行為に基づく損害賠償請求権の管理を怠る事実は地方自治法242条の2所定の財産の管理を怠る事実に当たるところ,当該第三者が当該地方公共団体の職員である場合において,その財務会計上の行為ではない職務上の行為が当該地方公共団体に対する不法行為を構成することがあることは否定できないところ,当該行為が不法行為に当たるとしてその損害賠償請求権の行使を怠る事実の違法をいう住民訴訟においても,怠っているとされる職員の立場において,当該怠る事実が財務会計法規に違反するものといえるかどうかにより判断されることに変わりはなく,また,財務会計上の行為ではない職務上の行為を,その性質,内容等によって,住民訴訟において間接的に審査の対象とすることを同法が予定しているものとそうでないものとに区別することは困難であることからすれば,職員の財務会計上の行為ではない職務上の行為が地方公共団体に対する不法行為に当たるとして,同法242条の2第1項4号に基づき,当該職員に損害賠償請求をすることを地方公共団体の長に対して求める訴えが,制度の趣旨に反するものとして許されないとする実質的理由は見いだし難いから,このような訴えも適法である。

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