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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成23(行ウ)241

事件名

 過料処分取消請求事件

裁判年月日

 平成24年12月6日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 宗教団体が,足立区反社会的団体の規制に関する条例(平成22年足立区条例第44号)5条2項が定める報告を正当な理由がないのに拒んだとして,同条例10条に基づき金5万円の過料に処する旨の処分を受けたことに対し,前記報告に係る義務を課し,その義務を懈怠した場合につき過料に処することなどを定める同条例は,憲法20条1項が国民に保障する信教の自由などの基本的人権を著しく侵害するもので違憲無効であるとしてした前記処分の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 宗教団体が,足立区反社会的団体の規制に関する条例(平成22年足立区条例第44号)5条2項が定める報告を正当な理由がないのに拒んだとして,同条例10条に基づき金5万円の過料に処する旨の処分を受けたことに対し,前記報告に係る義務を課し,その義務を懈怠した場合につき過料に処することなどを定める同条例は,憲法20条1項が国民に保障する信教の自由などの基本的人権を著しく侵害するもので違憲無効であるとしてした前記処分の取消請求につき,信教の自由等を制約する法令の規定が公共の福祉による必要かつ合理的なものといえるかどうかについては,[1]当該法令の規制目的を達成するために制限が必要とされる程度と,[2]制限される自由の内容及び性質,[3]これに加えられる具体的制限の態様及び程度等を比較較量して決せられるべきものであるところ,[1]同条例の目的は正当であり,反社会的団体の活動に対する規制の必要性は高く,[2]報告を求められる事項は,いずれも個人の信仰など内心の自由に関するものは含まれておらず,当該団体が宗教団体である場合であっても,専ら世俗的側面における活動状況・実態を把握するためのものであり,当該団体又はその構成員の宗教的活動の中核的部分に関する事項を規制したり,構成員の精神的・宗教的な側面に容かいするような性質のものではなく,[3]同条例5条2項に定める報告義務に関する規定は不明確とはいえず,同条例の規制により当該団体の施設の所在地が町名まで明らかにされても,規制の目的に照らして相当を欠くとまではいえず,また,手続保障も十分に図られているということができるから,同条例による規制手段と規制目的との間には合理的関連性があり,かつ,規制によって得られる利益と失われる利益とを衡量しても相当であるため,同条例は,憲法20条1項に違反しないとして,前記取消請求を棄却した事例

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