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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成24(行コ)351

事件名

 各退去強制令書発付処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成23年(行ウ)第402号,同第504号)

裁判年月日

 平成25年4月10日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 フィリピン共和国の国籍を有する者らが,出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出をしたのに対し,法務大臣から権限の委任を受けた入国管理局長がした同申出に理由がない旨の各裁決は,在留特別許可を認めなかった点で違法であり,同各裁決が適法に行われたことを前提として入国管理局主任審査官がした退去強制令書の各発付処分も違法であるとしてした前記各裁決及び前記各発付処分の取消請求が,いずれも棄却された事例

裁判要旨

 フィリピン共和国の国籍を有する者らが,出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出をしたのに対し,法務大臣から権限の委任を受けた入国管理局長がした同申出に理由がない旨の各裁決は,在留特別許可を認めなかった点で違法であり,同各裁決が適法に行われたことを前提として入国管理局主任審査官がした退去強制令書の各発付処分も違法であるとしてした前記各裁決及び前記各発付処分の取消請求につき,在留特別許可をすべきか否かの判断は,法務大臣の広範な裁量に委ねられているというべきであるが,その裁量は無制約のものではなく,その判断が全く事実の基礎を欠き又は社会通念に照らして著しく妥当性を欠くことが明らかである場合には,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるとし,また,定住者告示(「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件」(平成2年法務省告示第132号))は,直接的には,上陸申請の場合の原則的な許否の要件を定めるものではあるが,その内容趣旨は,在留特別許可をすべきか否かの判断においても十分に尊重されるべきものと解されるとし,さらに定住者告示6号ニにいう,日本人の配偶者で日本人の配偶者等の在留資格をもって在留するものの「扶養を受けて生活する」これらの者の未成年で未婚の実子に当たると認められるためには,国又は地方公共団体の負担する給付によることなく,日本人の配偶者が,未成年で未婚の実子の在留中に要する一切の経費について,主として支弁して負担すると認められることを要するとした上で,同者らの生活費等その在留中に要する一切の経費について,国又は地方公共団体の負担する給付によることなく,日本人の配偶者である同者らの実母が主として支弁して負担したものとは認められないなどとし,前記各裁決の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであると認めることはできず,また,前記各裁決が適法である以上,前記各発付処分も適法というべきであるとして,前記請求をいずれも棄却した事例

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