Q&A

高等裁判所が第二審としてした判決に不服がある場合の手続について(Q&A)

高等裁判所がした決定又は命令に不服がある場合の手続について(Q&A)

高等裁判所が第二審としてした判決に不服がある場合の手続について

Q1: どのような手続があるのですか?
A1: 最高裁判所に不服の申立てをすることができます。不服の申立てには,次の二つの方法があります。

(1) 上告の提起(民事訴訟法312条)
 憲法違反又は法律に定められた訴訟手続に関して重大な違反があることを理由とする場合に限られます。

(2) 上告受理の申立て(民事訴訟法318条)
 高等裁判所の判決に
 1. 最高裁判所の判例(これがない場合にあっては,大審院又は上告裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合
 2. その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる場合において,この申立てをすることができます。
Q2: 「上告の提起」又は「上告受理の申立て」は,どのようにすればよいのですか?
A2: 表題を「上告状」又は「上告受理申立書」とした書面を,判決をした高等裁判所に提出してください。

 あなたが判決正本を受け取った日又は受け取ったとみなされる日の翌日から起算して2週間以内に,書面が裁判所に届くことが必要です(FAXによる書面提出は認められません)。

 「上告の提起」と「上告受理の申立て」は,いずれか片方の申立てをすることもできますし,両方の申立てをすることもできます。

 両方の申立てをする場合には,1通の書面に記載することもできますが,そのときは,書面の表題を「上告状兼上告受理申立書」としてください。
Q3: 「上告の理由」又は「上告受理申立ての理由」は,申立てのときに書面に記載しなければならないのですか?
A3: 「上告状」又は「上告受理申立書」の中に,必ずしも「上告の理由」又は「上告受理申立ての理由」を記載する必要はありませんが,A6で述べている期間内には理由を記載した書面(理由書)を提出する必要があります。

 もし,「上告状」,「上告受理申立書」又は「上告状兼上告受理申立書」に理由を記載する場合には,表題と理由とが矛盾しないように注意してください(A1参照)。
Q4: 手続には,いくらぐらい費用がかかるのですか?
A4: 「上告の提起」又は「上告受理の申立て」の手続には,
 1. 手数料として収入印紙
 2. 上告状等の送達に必要な郵便切手
 をそれぞれ納める必要があります。

手数料の額は不服を申し立てる範囲によって異なります。疑問の点がありましたら,判決をした高等裁判所の担当書記官にお問い合わせください。

郵便切手の額は,当事者の数等によって異なりますので,予納郵便切手早見表を参考としてください。

なお,「上告の提起」,「上告受理の申立て」の両方の申立てをする場合,手数料及び郵便切手は1件分を納めることで足ります。
Q5: 「上告状」等を提出する際には,ほかにどのような書類が必要となりますか?
A5: 「上告状」等の書面は,裁判所の記録につづるもの(正本)1通のほかに,被上告人(相手方)の数に応じた送付用のもの(副本)が必要となります。

 ただし,「上告状」等に理由の記載がある場合には,事務処理用として,更に被上告人(相手方)の数に6を加えた通数(例えば,被上告人が1人の場合には副本計7通)を添付することになるので(民事訴訟規則195条),注意してください。

 このほか,会社等が当事者となっている場合には,その会社の代表者が明らかとなるように資格証明書(登記事項証明書など)も添付することになります。
Q6: 上告状等の受付が終了した後,裁判所ではどのような手続をするのですか?
A6: 「上告状」等の受付が終了すると,判決をした高等裁判所において,形式的な記載事項の不備,手数料の納付などの審査を行った上で,「上告の提起」等がされた旨の通知書を当事者双方に送付することになります。

 「上告状」等に理由を記載しなかった場合には,あなたがこの通知書を受け取った日又は受け取ったとみなされる日の翌日から起算して50日以内に理由を記載した書面(理由書)を提出しなければなりません(A3参照)。

 高等裁判所において以上の手続を終えた後,最高裁判所に記録が送付されることになります。
Q7: 期間内に「上告の理由書」又は「上告受理申立ての理由書」を提出しなかった場合には,どのようになるのですか?
A7: A6で述べた期間内に「上告の理由書」又は「上告受理申立ての理由書」を提出しなかったり,その記載方法が相当でない場合には,「上告の提起」等の申立てが却下される可能性がありますので,注意してください。

高等裁判所がした決定又は命令に不服がある場合の手続について

Q8: どのような手続があるのですか?
A8: 最高裁判所に不服の申立てをすることができます。不服の申立てには,次の二つの方法があります。

(1) 特別抗告の提起(民事訴訟法336条)
 憲法違反を理由とする場合に限られます。

(2) 抗告許可の申立て(民事訴訟法337条)
 高等裁判所の決定又は命令に,

1. 最高裁判所の判例(これがない場合にあっては,大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合
2. その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる場合において,この申立てをすることができます。

 この場合には,高等裁判所が申立てを決定で許可したときに限り,抗告の提起があったものとみなされます。
Q9: 「特別抗告の提起」又は「抗告許可の申立て」は,どのようにすればよいのですか?
A9: 表題を「特別抗告状」又は「抗告許可申立書」とした書面を,決定又は命令をした高等裁判所に提出してください。

 あなたが決定又は命令の謄本を受け取った日又は受け取ったとみなされる日の翌日から起算して5日以内に,書面が裁判所に届くことが必要です(FAXによる書面提出は認められません)。

 「特別抗告の提起」又は「抗告許可の申立て」は,いずれか片方の申立てをすることもできますし,両方の申立をすることもできます。

 両方の申立てをする場合でも,1通の書面ですることはできませんので,注意してください。
Q10: 「特別抗告の理由」又は「抗告許可申立ての理由」は,申立てのときに書面に記載しなければならないのですか?
A10: 「特別抗告状」又は「抗告許可申立書」の中に,必ずしも「特別抗告の理由」又は「抗告許可申立ての理由」を記載する必要はありませんが,A13で述べている期間内には理由を記載した書面(理由書)を提出する必要があります。

 もし,「特別抗告状」又は「抗告許可申立書」に理由を記載する場合には,表題と理由とが矛盾しないように注意してください(A8参照)。
Q11: 手続には,いくらぐらい費用がかかるのですか?
A11: 「特別抗告の提起」又は「抗告許可の申立て」の手続には,
 1. 手数料として収入印紙
 2. 特別抗告状等の送達に必要な郵便切手
 をそれぞれ納める必要があります。

手数料の額は最初に抗告を提起した際と同額となります。疑問の点がありましたら,決定又は命令をした高等裁判所の担当書記官にお問い合わせください。

郵便切手の額は,当事者の数等によって異なりますので,予納郵便切手早見表を参考としてください。

 なお,「特別抗告の提起」,「抗告許可の申立て」の両方の申立てをする場合,手数料及び郵便切手は1件分を納めることで足ります。
Q12: 「特別抗告状」等を提出する際には,ほかにどのような書類が必要となりますか?
A12: 「特別抗告状」等の書面は,裁判所の記録につづるもの(正本)1通のほかに,相手方の数に応じた送付用のもの(副本)が必要となります。

 ただし,特別抗告状等に理由の記載がある場合には,事務処理用として,更に相手方の数に6を加えた通数(例えば,相手方が1人の場合には副本計7通)を添付することになりますので(民事訴訟規則195条),注意してください。

 このほか,会社等が当事者となっている場合には,その会社の代表者が明らかとなるように資格証明書(登記事項証明書など)も添付することになります。
Q13: 「特別抗告状」等の受付が終了した後,裁判所ではどのような手続をするのですか?
A13: 「特別抗告状」等の受付が終了すると,決定又は命令をした高等裁判所において,形式的な記載事項の不備,手数料の納付などの審査を行った上で,「特別抗告」等が提起された旨の通知書を当事者双方に送付することになります。

 「特別抗告状」等に理由を記載しなかった場合には,あなたがこの通知書を受け取った日又は受け取ったとみなされる日の翌日から起算して14日以内に理由を記載した書面(理由書)を提出しなければなりません(A10参照)。

 高等裁判所において以上の手続を終えた後,最高裁判所に記録が送付されることになります。
Q14: 期間内に「特別抗告の理由書」又は「抗告許可申立ての理由書」を提出しなかった場合には,どのようになるのですか?
A14: A13で述べた期間内に「特別抗告の理由書」又は「抗告許可申立ての理由書」を提出しなかったり,その記載方法が相当でない場合には,「特別抗告の提起」等の申立てが却下される可能性がありますので,注意してください。