不動産引渡命令申立てについて

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1. 不動産引渡命令の申立期限

 不動産引渡命令は,原則として代金納付日から6か月以内しか申立てができません。占有者に明渡猶予が認められる場合は,代金納付日から9か月以内であれば申立てができますが,明渡猶予期間経過前は,原則として申立てができません(明渡猶予については,物件明細書で確認できます。)。

2. 不動産引渡命令申立書

 不動産引渡命令の申立ては,申立書を提出していただく必要があります。申立書は申立書本体(以下の書式1又は2)及び物件目録から構成されています。

1. 申立書作成時の注意事項

ア 申立書は,A4版の用紙を使用して横書きで作成してください。
イ 使用する印は,入札に使用した印を使用してください。
ウ 申立書の左側3㎝は,綴じしろになりますので何も記載しないでください。
エ 申立書(書式1の場合は申立書1枚,書式2の場合は,申立書,当事者目録,申立ての趣旨,申立ての理由の計4枚)と物件目録等を左綴じにして,各用紙に割印(契印)を押してください。

2. 「当事者」欄(書式1の場合)又は「当事者目録」(書式2の場合)作成時の注意事項

ア 原則として,前所有者及び当該物件を占有している者(占有者)を相手方として申し立てることができます。執行官による現況調査時における裁判所の占有認定については,3点セット「物件明細書」の「4 物件の占有状況等に関する特記事項」欄の記載をご確認ください。
 物件明細書に記載されていない者を相手方とする場合は以下のA又はBいずれかの書類を追加してください。
 A その者の氏名・占有開始時期・占有権限・占有事実等を調査した報告書
 B 所有者を相手方とした引渡執行の執行不能調書
 (執行官が相手方を特定し,相手方の占有の事実及び相手方の主張する占有権限について聴取した公文書)
イ 登記事項証明書(登記簿謄本)記載の建物の所在地と住所表示は必ずしも一致しません。当事者の住所は競売事件の記録等で確認してください。
ウ 当事者の住所は,省略して記載せず,以下の例のように記載してください。
 なお,不正確な記載をされると,後で更正決定の申立てが必要になる場合があります。
例) 「名古屋市○○区○○町○丁目○番○号」
エ 6か月の明渡猶予が認められる占有者については,その期間が経過した後でないと申立てはできません。
 ただし,明渡猶予を認められた者が,その猶予期間中,建物を使用したことの対価の支払を1か月分以上怠り,買受人から相当の期間を定めて1か月分以上の支払を催告されたにもかかわらずその支払をしないときは,猶予期間中であっても引渡命令の申立てができます。この場合,支払の催告をしたことを証明する書類(内容証明郵便及び配達証明書等)の写しが必要となります。

3. 「物件目録」作成時の注意事項

ア 物件目録は,代金納付期限通知書のものをコピーして使用することができます。
イ マンションの場合,引渡命令の対象となるのは建物のみです。土地(敷地)部分については申立てができません。代金納付期限通知書の物件目録をコピーして利用する場合は,土地(敷地)部分の記載を斜線で抹消し,入札印を押して訂正してください。

4. 物件の一部を占有している者に対して申し立てる場合の注意事項

ア 物件の一部を占有している者が,具体的にどの部分を占有しているかを特定して申立てする必要があります。
イ 執行官による現況調査時の占有部分の特定については,物件明細書の「4 物件の占有状況等に関する特記事項」欄に記載されていますので参照してください。
ウ 占有状況によっては,申立書に図面を添付していただく必要があります。
  その場合には,現況調査報告書等に添付された図面を利用していただくことができます。

  • 図面引用の参考例(PDF:91KB)
  • 前所有者が相手方の場合は,物件明細書の「4 物件の占有状況等に関する特記事項」欄に,その占有範囲が限定して記載されていても,原則として,所有する物件の全部に対して申し立てることができます。
  • 引渡命令が発令されていても,物件の占有状況等の事情により執行官の強制執行の段階で執行不能となる場合があります。

3. 申立手数料

 相手方1名につき500円の収入印紙が必要です。相手方が1名増えるごとに500円が加算されます。

 なお,収入印紙には割印はしないでください。

4. 郵便切手

 通常1,204円の郵便切手が申立人及び相手方の人数分必要となりますが,競売事件における相手方の送達状況により異なりますので,不動産引渡命令申立時に代金納付・配当係にお問い合わせください。

5. 提出書類

1. 相手方が法人の場合

商業登記事項証明書(申立日から1か月以内に発行されたもの)

2. 事件記録上に現れてこない占有者が引渡命令の相手方になる場合

以下のア,又は,イの書類のいずれか
ア,その者の氏名,占有開始時期,占有権原,占有事実等を調査した報告書
イ,所有者を相手方とした引渡執行の執行不能調書
 (執行官が相手方を特定し,相手方の占有の事実及び相手方の主張する占有権限について聴取した公文書)

6. 引渡命令の発令

 引渡命令が発令されると,正本が当事者に送達されます。
 相手方への送達が不奏功の場合,郵便切手の追納や所在調査をお願いすることがあります。

7. 執行文付与申立て・送達証明申請

 当事者に引渡命令正本が送達された日から1週間は執行抗告(高等裁判所に対する上訴)を申し立てることができます。執行抗告の申立てがなく,1週間を経過すると引渡命令が確定します。
 引渡命令が確定したら,「明渡の強制執行」の準備として,執行文付与申立てと送達証明申請をします。
 執行文付与申立ては,引渡命令の確定後でなければ申立てを受け付けることができないので,引渡命令が確定しているか事前に裁判所へお問い合わせください。

1. 提出書類

ア 執行文付与申立て:執行文付与申立書,不動産引渡命令正本
イ 送達証明申請:送達証明申請書

2. 申立手数料

ア 執行文付与申立て:収入印紙 300円(執行文1通につき)
イ 送達証明申請 :収入印紙 (相手方の人数)×150円

8. 執行官に対する明渡執行申立て

 引渡命令正本(執行文付き)と送達証明書を添付の上,執行官に引渡命令執行の申立てをします(当事者が法人の場合は商業登記事項証明書も必要です。)。
 申立ての際には,所定の予納金が必要です。
 執行官は,相手方に原則として1か月以内の期限を決めて明け渡すよう催告することができ,この場合,民事執行法第168条の2第3項に定める事項が当該不動産所在地に公示されます。
 それでも明渡しに応じなければ運送業者を手配するなどの本格的な明渡しの執行を行いますが,その場合に相応の費用がかかる場合もあります

9. 残置物の撤去について

 前所有者や占有者の所有物が物件に残されたままの状態になっている場合,残置物を勝手に処分することはできませんので,引渡命令の申立てをし,執行官に明渡執行をしてもらう必要があります。この場合も相応の費用がかかります

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