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知的財産権訴訟の管轄の特例等
主なものは、次のとおりです。
- 特許権等に関する訴えの専属管轄等
(1) 特許権等に関する訴えの専属管轄(民事訴訟法6条1項)
(2) 特許権等に関する訴えを本案とする保全命令事件の管轄の特例(民事保全法12条2項) - 特許権等に関する訴えに係る控訴の専属管轄(民事訴訟法6条3項)
- 意匠権等に関する訴えの競合管轄(民事訴訟法6条の2)
- 特許権等に関する訴訟の移送
(1) 第一審における移送(民事訴訟法20条の2第1項)
(2) 控訴審における移送(民事訴訟法20条の2第2項)
特許権等に関する訴えの専属管轄
(ア)特許権、(イ)実用新案権、(ウ)回路配置利用権又は(エ)プログラムの著作物についての著作者の権利に関する訴え(特許権等に関する訴え)について、民事訴訟法4条、5条の規定によれば東日本の地方裁判所(東京、名古屋、仙台、札幌高等裁判所の各管轄区域内)に管轄権がある場合は、その訴えは東京地方裁判所の管轄に専属し、西日本の地方裁判所(大阪、広島、福岡、高松高等裁判所の各管轄区域内)に管轄権がある場合は、その訴えは大阪地方裁判所の管轄に専属することになりました。
これは、特許権等に関する訴えを、専門的処理体制の整った東京地方裁判所と大阪地方裁判所に集中することにより、審理の一層の充実及び迅速化を図るためです。
特許権等に関する訴えを本案とする保全命令事件の管轄の特例
特許権等に関する訴えを本案とする保全命令事件は、本案と同様に、その審理において専門技術的事項が問題となるため、その管轄裁判所は、「本案の管轄裁判所」である東京地方裁判所又は大阪地方裁判所となります。つまり、本案の管轄裁判所が大阪地方裁判所であれば、保全命令事件の管轄裁判所も大阪地方裁判所となります。
ただし、仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所が東京地方裁判所又は大阪地方裁判所であるときは、その裁判所も管轄権を有します。
意匠権等に関する訴えの競合管轄
(ア)意匠権、(イ)商標権、(ウ)著作者の権利(プログラムの著作物についての著作者の権利を除く。)、(エ)出版権、(オ)著作隣接権、若しくは、(カ)育成者権に関する訴え又は(キ)不正競争(不正競争防止法2条1項に規定する不正競争をいう。)による営業上の利益の侵害に係る訴え(意匠権等に関する訴え)の中には、特許権等に関する訴えと同様、専門的な処理が必要となる事件があります。
そこで、これらの訴えについても、審理の一層の充実及び迅速化を図るため、民事訴訟法4条、5条の規定により管轄権を有する地方裁判所のほか、これらの規定により東日本の地方裁判所が管轄権を有する場合は東京地方裁判所にも訴えを提起することができ、西日本の地方裁判所が管轄権を有する場合は大阪地方裁判所にも訴えを提起することができるようになりました。
特許権等に関する訴訟の第一審における移送の特例
東京地方裁判所又は大阪地方裁判所は、特許権等に関する訴えに係る訴訟がその管轄に専属する場合であっても、審理すべき専門技術的事項を欠くことその他の事情により、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、民事訴訟法4条、5条若しくは11条の規定によれば管轄権を有する地方裁判所又は19条1項の規定によれば移送を受けるべき地方裁判所に移送をすることができます。
「特許権等に関する訴え」の例
- 特許権者から権利侵害者に対する差止・侵害物の廃棄等の請求訴訟
- 特許権者から権利侵害者に対する損害賠償請求訴訟、損害賠償に代えまたは損害賠償とともにする信用回復あるいは名誉回復請求訴訟
- 特許権者を被告とする特許権の侵害による差止請求権または損害賠償請求権の不存在確認請求訴訟
などがあります。
その他、職務発明の対価の請求訴訟などもあります。