相続の放棄の申述

1. 概要

 相続が開始した場合に,相続人が被相続人(亡くなった方。以下同じ)の権利(財産等)や義務(負債等)を一切受け継がない旨を,家庭裁判所に対して申述する手続です。

 相続が開始した場合,相続人は次の三つのうちのいずれかを選択できます。

  1. 相続人が,被相続人の土地所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ単純承認
  2. 相続人が,被相続人の権利や義務を一切受け継がない相続放棄
  3. 被相続人の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等に,相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ限定承認

 相続人が,2の相続放棄又は3の限定承認をするには,家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。

2. 申述人

 相続人(相続人が未成年者又は成年被後見人である場合には,その法定代理人が代理して申述します。)

ア 亡くなった方の配偶者

イ 第一順位 亡くなった方の子(代襲相続の場合,孫)

ウ 第二順位 亡くなった方の直系の尊属(父母,祖父母等)

エ 第三順位 亡くなった方の兄弟姉妹(代襲相続の場合,おい,めい)

※先の順位者がいる場合は,その先順位者全員の相続放棄が受理されていないと申述はできません。

3. 申述期間

自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内です。

4. 申述をする裁判所

被相続人の最後の住所地の家庭裁判所となります。

被相続人の最後の住所地が大分県内の場合の申述先は,次のとおりです。

被相続人の最後の住所地 申述先
大分市,別府市,臼杵市,津久見市,由布市,豊後大野市のうち旧犬飼町,旧千歳村 大分家庭裁判所
杵築市(旧大田村を除く。),国東市(旧国見町を除く。),日出町 大分家庭裁判所杵築支部
佐伯市 大分家庭裁判所佐伯支部
竹田市,豊後大野市(旧犬飼町,旧千歳村を除く。) 大分家庭裁判所竹田支部
中津市,宇佐市,豊後高田市,杵築市のうち旧大田村,国東市のうち旧国見町,姫島村 大分家庭裁判所中津支部
日田市,玖珠町,九重町 大分家庭裁判所日田支部

裁判所の住所等は,管内の裁判所の所在地を御覧ください。

5. 申述に必要な費用

収入印紙・・申述人(放棄をする人)1人につき800 円
郵便切手・・申述人(放棄をする人)1人につき84円×3枚,10円×1枚

6. 申述に必要な書類

相続放棄の申述書1通・・【申立書】・【申立書記載例】を参照

  • 【共通】
    (1)被相続人の住民票除票又は戸籍附票1通
    (2)申述人の戸籍謄本(全部事項証明書)1通(3か月以内のもの)
  • 【申述人が被相続人の配偶者又は第一順位相続人(子及びその代襲者)の場合】
    (3)被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
    (4)申述人が代襲者(孫,ひ孫等)の場合,被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
  • 【申述人が第二順位相続人(直系尊属)の場合】
    (3)被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
    (4)被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している者がある場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
    (5)死亡している直系尊属(相続人より下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合,父母))がある場合,その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
  • 【申述人が第三順位相続人(兄弟姉妹及びその代襲者としてのおいめい)の場合】
    (3)被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
    (4)被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している者がある場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
    (5)被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
    (6)申述人が代襲相続人(おいめい)の場合,被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)

※戸籍について

  1. 戸籍の謄本については,「全部事項証明」,「戸籍謄本」,「改製原戸籍謄本」,「除籍謄本」という名称の場合があります。
  2. 相続人等の確定のために必要ですから,戸籍は必ず謄本(全部事項証明書)をお取り下さい。抄本は,一部の記載が省略されているため,使用できません。

注1 上記戸籍謄本(全部事項証明書)で,重複(共通)するものは1通提出していただければ結構です。
 また,同順位者の複数が同時に申述する際も,重複(共通)するものは1通提出していただければ結構です。

注2 相続人が未成年者又は成年被後見人である場合には,その法定代理人(親権者,未成年後見人,成年後見人)が代理して申述しますが,未成年者又は成年被後見人と法定代理人が共同相続人であって未成年者又は成年被後見人のみが申述するとき(法定代理人が先に申述している 場合を除く。),または複数の未成年者の法定代理人が一部の未成年者を代理して申述するときには,その未成年者又は成年被後見人について特別代理人の選任が必要です。

注3 申述するご本人が申述書等を直接窓口に提出する場合は,必ずご自身の認め印をお持ちください。

注4 審理のため必要な場合は,追加書類の提出をお願いすることがあります。

注5 裁判所に提出していただいた書類は,原則返却しませんので,御了承ください。