書証等の提出について

第1 はじめに

 知的財産高等裁判所では、「審決取消訴訟(特許・実用新案)の進行について」(審理要領)等において、審理充実と計画審理を実施するための準備をお願いし、平素からこれにご協力をいただいていることに感謝申し上げます。

 さて、上記準備の一環として、必要な証拠の事前提出をお願いしているところですが、その参考としていただくため、審決取消訴訟の事件類型ごとの基本的書証のリストを作成しましたので、ご利用ください。なお、下記リストには一般的に必要と考えられるものを掲載しましたが、リストに掲載された書証であっても事案により証拠調べの必要がないと判断されるものについては、提出しなくて結構です。

第2 書証・電証(以下「書証等」と記載します。)の申出方法

1 審決・決定

 審決・決定謄本(写し又は電磁的記録)は、原則として書証等ではなく、訴状の添付書類としてください。mintsを利用して電子申立てする場合には、新規申立てフォームの添付書類に添付してください。

2 書証番号

 書証番号(数字部分)は、できる限り審判手続における番号と一致するようにしてください(なお、無効審判の取消訴訟等当事者系の事件では、審判における甲号証の番号を訴訟における甲号証の番号と一致させてください。審判における乙号証の番号と訴訟における甲号証の番号を一致させる必要はありません。)。その一例としては、[1]審判時の甲第1n号証を訴訟時の甲第1n号証にする、[2]審判時の乙号証を原告が提出するときは、訴訟時の甲第n1号証以下とする、[3]審決又は決定で判断の対象となった特許請求の範囲を特定するための文書を続ける、[4]その他の文書を続ける、という方法が考えられます。
 なお、審決取消訴訟で証拠調べの必要性がないと判断される書証については、当該書証の審判手続における証拠番号を欠番としておくことで結構です。

3(1)証拠説明書

 書証の提出に際しては、併せて証拠説明書を提出してください(民事訴訟規則1371項)。証拠説明書を作成する際は、各証拠が特定されるよう留意し、書証等番号、文書の標目(原本、写しの別を含む)、作成年月日、作成者、立証趣旨、備考(審判時の書証番号等)の順で記載してください。

(2)電子証拠説明書

 電磁的記録そのものを証拠とする場合(電証)には、併せて電子証拠説明書を提出してください(民事訴訟規則149条の2第1項)。なお、前記「証拠説明書」と兼ねて作成できますので、別途「電子証拠説明書」という表題で書面を作成する必要はありません。書証等番号、電磁的記録の標目、作成年月日、作成者、立証趣旨、備考(審判時の書証番号等)の順で記載してください。

 証拠説明書の書式は下記「証拠説明書書式」をご覧ください。

証拠説明書書式PDF/Excel

証拠説明書書式PDFファイル

(76KB)

証拠説明書書式Excelファイル(32.5KB)

 なお、書証番号は、文書ごとに個別に番号を付してください(複数の文書に一つの番号を付けるということはないようにしてください)。その場合、密接に関連する書証の番号は、枝番でも構いません(例 甲第1号証の1、甲第1号証の2・・・)。

4 基本的書証以外の文書

 後記第3の基本的書証以外の文書であっても、準備書面等で言及したものは書証として提出してください。

 準備書面等で辞書の記載を引用した場合は、引用元の辞書の記載を書証として提出してください。

5 書証の提出方法

 カラーで提出する必要がある書証は、カラーコピーで提出してください。

 書籍は、発行者及び発行日が特定される部分(奥書部分等)も提出してください。新聞は、新聞社、発行日及び朝刊・夕刊の別が分かるようにして提出してください。雑誌は、雑誌名及び何年何月号かが特定される部分(表紙又は裏表紙等)も提出してください。

6 訳文

 外国語文献には、取調べを求める部分(その理解の前提となる説明部分も含む)の訳文を添付する必要があります(民事訴訟規則1381項)。

 相手方から提出された訳文の正確性について意見があるときは、意見書を提出してください(同条2項)。

7 準文書

 図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないもの(例えば、CDDVD等)は、準文書として書証に準じて提出してください(民事訴訟法231条)。

 写真等については、撮影対象名、撮影者、撮影日時及び場所を標目に記載してください(民事訴訟規則148条)。

 なお、これらはその内容を電証として証拠申出することも可能です。

8 審判手続における証人調書、検証調書等

 審判手続において人証、検証等の取調べをした場合は、必要に応じてその調書を書証として提出してください。

9 再度の取消訴訟の場合の前判決・前審決(決定)

 審決(決定)を取り消す判決が確定したときは、特許庁はさらに審判を行い審決(決定)をします(特許法1812項)が、再度の審理ないし審決(決定)には、行政事件訴訟法331項の規定により、取消判決の拘束力が及びます。したがって、取消判決により取り消された後の再度の審決(決定)に対する取消訴訟の場合には、当該判決及び取り消された前審決(決定)を証拠として提出してください。

10 裁判当日の準備

 文書の証拠調べをする場合は、書証を事前に提出していても、その書証の原本を口頭弁論等の期日において裁判所又は相手方が直接確認することがあります(民事訴訟規則1431項)ので、書証の原本自体をご持参ください。なお、口頭弁論等の期日においてウェブ会議による出頭の場合、原本の取調べをすることができませんので、書証提出時にあらかじめ電磁的記録そのものを証拠として提出することを検討する等、提出方法についてご検討ください。

第3 主な事件類型における基本的書証等

 基本的書証等とは、審決が引用又は例示した先行技術文献、審決が判断の理由において言及した手続関係の書面、本件特許の明細書・特許請求の範囲・図面、特許訂正等がある場合における訂正審判・訂正請求書等、及び手続違反を争う場合における関係する手続書面など、一般的に必要と考えられる書証のことをいいます。以下に基本的書証の例を記載しましたが、個別の事案において、審決取消訴訟における争点と関連せず証拠調べの必要性のない書証を提出する必要はありません。

1 特許・実用新案(新規性・進歩性の有無が争点である事案)

(査定系)

(1) 拒絶査定不服審決

[1]審決が引用した公知例等の先行技術文献

[2]審決が判断の理由において引用又は例示した周知例、審決が言及した周知技術を証明する刊行物

[3]技術水準、技術常識が問題となる事案では、これらを証明する刊行物

[4]本件特許出願の明細書、特許請求の範囲及び図面
 上記明細書等(図面を含みます。)は、審判時のものが必要です。ただし、争点となる拒絶理由によっては、更に、願書に最初に添付した明細書(特許法17条の23項)、手続補正書、補正明細書等の提出が必要になります。なお、最後の補正後の全文明細書の作成・提出を求める場合があります。

[5]審決が判断の理由において言及した拒絶理由通知書、拒絶査定、意見書等
 なお、取消事由によっては(例えば、特許法50条や1592項違反の手続的瑕疵を主張する場合など)、審決が言及していなくても、上記文書等の提出が必要となる場合があります。

(2) 訂正審判
上記(1)[1][3]のほか、

[4]本件特許公報
 その後の訂正がある場合には審決の対象となった明細書等(図面を含みます。)争点となる無効理由によっては、更に、願書に最初に添付した明細書(特許法17条の23項)、手続補正書、補正明細書等の提出が必要になります。

[5]訂正審判請求書(添付の訂正明細書を含みます。)
 請求書の補正がある場合は、手続補正書(補正後の訂正明細書を含みます。)

[6]審決が判断の理由において言及した訂正拒絶理由通知書、意見書等
 なお、取消事由によっては、審決が言及していなくても、上記文書等の提出が必要となる場合があることは、上記(1)と同様です。

(当事者系)

(3) 無効審判
上記(1)[1][3]のほか、

[4]本件特許・実用新案公報
 その後の訂正がある場合には審決の対象となった明細書等(図面を含みます。)争点となる無効理由によっては、更に、願書に最初に添付した明細書(特許法17条の23項)、手続補正書、補正明細書等の提出が必要になります。

[5]審決が判断の理由において言及した無効理由通知書、訂正拒絶理由通知書、答弁書、弁駁書、意見書、調書等
 なお、取消事由によっては、審決が言及していなくても、上記文書等の提出が必要となる場合があることは、上記(1)と同様です。

[6]訂正請求がなされた場合は、当該訂正請求書(添付の訂正明細書を含みます。)
 請求書の補正がある場合は、手続補正書(補正後の訂正明細書を含みます。)

2 商標

(査定系)

(1) 拒絶査定不服審決

[1]審決が判断の理由において引用した公知例、周知例、その他文献

[2]本件商標登録出願の願書

[3]審決が判断の理由において言及した拒絶理由通知書、拒絶査定、意見書等

(2) 商標登録取消決定

 下記(3)を参考にしてください。

(当事者系)

(3) 無効審判
 上記(1)[1][2]のほか、下記が必要です。

[3]審決が判断の理由において言及した無効理由通知書、意見書等

[4]商標公報、登録原簿謄本

(4) 不使用取消審判

[1]審判手続において使用証明のために提出された書証(原則として全部)

[2]商標公報、登録原簿謄本(予告登録の記載のあるもの)

3 意匠

上記1(特許実用新案)を参考にしてください。

ページ上部に戻る