トップ > 各地の裁判所 > 最高裁判所 > 各種委員会 > 医事関係訴訟委員会について > 第11回医事関係訴訟委員会・第9回鑑定人等候補者選定分科会議事要旨
1. 日時
平成15年11月11日(火)午後3時
2. 場所
最高裁判所中会議室(2階)
3. 出席者(敬称略)
委員
森 亘,大西勝也,鴨下重彦,川名尚,菊池信男,木下勝之,杉本恒明,永井多惠子,橋元四郎平,平山正剛,山口武典(武藤徹一郎は欠席)
特別委員
なし
オブザーバー
前田順司,貝阿彌誠,中本敏嗣
事務局
園尾隆司,菅野雅之,舘内比佐志
4. 議事
(1)開会の宣言
(2)「報告書 医事関係訴訟委員会のこれまでの軌跡」について
事務局から,本委員会が取りまとめた「報告書 医事関係訴訟委員会のこれまでの軌跡」を日本医学会分科会,同分科会以外の学会で本委員会がこれまでに鑑定人候補者の推薦を受けた学会,その他日本医師会等の関係機関に送付したこと,並びに同報告書が「民事法情報」及び「判例タイムズ」の各誌に掲載された旨の報告が行われた。
(3)民事訴訟規則の一部を改正する規則の成立について
事務局から,民事訴訟規則の一部を改正する規則が成立した旨の報告がなされ,併せて,民事訴訟法及び民事訴訟規則の改正事項のうち鑑定手続の改善に関するもの,及び専門委員制度の概要が説明された。また,専門委員となるべき専門家向けのパンフレット「専門委員の手引き~専門委員になられる専門家の方のために~」が紹介され,専門委員を確保する方策についての現在の検討状況等の説明が行われた。
(4)推薦依頼をした事案の経過報告等
事務局から,本委員会で諸学会に対し鑑定人の推薦を依頼した事案について,別添「医事関係訴訟委員会において推薦依頼をした事案の経過一覧表」(PDF:1.3MB)に基づき,経過報告が行われた。
(5)推薦依頼について
ア 本委員会が鑑定人の推薦を依頼した学会が,関連する他の学会をより適当な推薦依頼先として挙げたときは,事後に本委員会への報告を行うことを条件に,改めて本委員会に諮ることなく事務局及び委員長の協議によってその学会に対して推薦依頼を行って差し支えないことが確認された。また,本委員会が推薦依頼先として決定した学会から候補者の推薦を得られない場合であって,本委員会の審議の状況から他にも適当な学会があることが明らかなときは,事後に本委員会への報告を行うことを条件に,改めて本委員会に諮ることなく,事務局及び委員長の協議によって,当該他学会に依頼してよいこととすることもあらためて了承された。
イ 今回推薦依頼のあった事例14件について,別添「推薦依頼のあった事案等について」(PDF:16KB)のとおり,依頼先学会が選定された。
(6)鑑定手続等について
事務局から,現在行っているような過程を経て決定した鑑定人が参加して進められた裁判の状況,特に鑑定人が受けた印象,抱いた意見を知って今後の参考とするために,選任された鑑定人及びその鑑定人を選任した裁判所に対して実施しているアンケートについて,その回答が一定の数にまで達してきたことが報告され,結果の概要の説明が行われた。
また,事務局から,鑑定人に対するアンケートの結果を取りまとめたものを年1,2回程度の割合で学会に送付することが提案され,了承された。
ア 鑑定人に対するアンケートについて
(主な発言)
- このような追跡調査,反省は当初からの約束であり,また,現在,日本医学会の分科会のメンバーの中には鑑定人候補者推薦後の状況についての追跡調査を求める声が特に高いものもあるので,学会には,是非,結果を知らせていただきたい。いずれまとまった形で一般に公表すべきものではあろうが,取り急ぎお知らせするという形で,1年に1,2回程度,学会にアンケートの結果を知らせることは,よいと思う。
- アンケートの結果は,是非,学会に知らせるべきである。そのことによって,本委員会等裁判所における鑑定手続に関する取組ないし姿勢を社会に示すことができる。
- 鑑定人の意見を現場の裁判官によく知ってもらうことも重要であり,そのための方法も考える必要がある。鑑定人への尋問等については従前から鑑定人側からの批判が強かったこともあり,弁護士を含む法律関係者に対してアンケート結果の周知を図ることも必要である。今すぐにということではないが,今後,周知の方法等も十分に検討していくべきだと思う。
- アンケート結果の中にもあったが,鑑定人尋問では,鑑定書に記載したことを重ねて聞かれることがある。尋問の必要性については裁判所が調整する必要があると思うし,また,鑑定を求める事項も整理して明確にしてもらいたいと思う。
- 想像だが,裁判所がその中立性を重んじるあまり,鑑定人等に対する対応についても,世間一般から見れば配慮が不足していると見られてしまう場合があるのではないか。
イ 裁判所に対するアンケートについて
(主な発言)
- 本委員会の推薦依頼制度によって鑑定手続がどれだけスピードアップしたのか等を推薦依頼に応じてくれた学会に開示していくべきである。
- 訴訟が和解や訴えの取下げにより終了した場合であっても,そうした結果の背景として鑑定が大いに役に立っており,そのことを医師の側によく知ってもらうべきである。
- 鑑定人には,自分の鑑定の結果が裁判の中でどのように役立っているのか全く分からない。そういった点も含め,裁判官にはアンケートの中で鑑定の結果に対する評価も示してもらいたいと思う。そのようなアンケートの結果をまとめたものが雑誌にでも載ることになれば,鑑定人としても鑑定の成果が分かり,満足したり,反省したり,いずれにしても鑑定をやりがいあるものと感じてくれると思う。
- 鑑定人に対する裁判所側の注文等もアンケートで聞くこととしてはどうか。
- 鑑定の結果や内容等に係る事項だけでなく,手続がどのようにスムースになったかを把握するための事項も盛り込んではどうか。
ウ その他
事務局から和解の成立に対する鑑定の寄与の実情が説明されたことに関連して,オブザーバーから,医事関係訴訟における一般的な審理の流れ,鑑定と和解の関係等につき,実情が紹介された。
(7)その他
ア 日本消化器病学会医療事故対策委員会への参加報告
事務局から,本年10月3日に開催された日本消化器病学会医療事故対策委員会に最高裁判所民事局第二課長が出席し,本委員会の活動をはじめとする裁判所における医事関係訴訟事件への取組等を説明した旨の報告がなされた。
イ 医療問題弁護団等からの意見書等について
事務局から,本委員会あてに医療問題弁護団等から「意見書」が送付されてきたことから,この件について報告された。
ウ 次回の委員会の日程等
次回の委員会及び鑑定人等候補者選定分科会は平成16年2月後半から同年3月上旬ころ開催することが決定した。