1. 裁判所職員総合研修所とは
裁判所職員総合研修所は,最高裁判所に設置されている研修機関です。ここでは,適正,迅速な裁判,国民に利用しやすく,分かりやすい裁判を実現するために,裁判官以外の裁判所の職員に対し,執務に必要な知識及び技能・技法を習得させるとともに,人格や識見を向上させるための研修をしています。また,裁判の手続に関する研究等を行い,裁判所の執務の改善・向上に役立てています。
2. 沿革
- 昭和25年 4月
- 最高裁判所に「裁判所書記官研修所」を設置し(東京都千代田区富士見町),裁判所書記官,裁判所事務官等の研修を実施
- 昭和32年 5月
- 最高裁判所に「家庭裁判所調査官研修所」を設置し(東京都千代田区富士見町),家庭裁判所調査官の研修を実施
- 昭和44年 4月
- 裁判所書記官研修所を東京都文京区白山に移転
- 昭和46年12月
- 家庭裁判所調査官研修所を東京都北区西が丘に移転
- 平成16年 4月
- 裁判所書記官研修所及び家庭裁判所調査官研修所を統合し,「裁判所職員総合研修所」を設置(埼玉県和光市南二丁目)
3. 組織
裁判所職員総合研修所は「研修部門」と「事務局部門」に分けられています。
研修部門は,三つの部に分けられ,各部に教官が置かれています。このうち裁判所書記官研修部は裁判所書記官の養成や裁判所書記官等の研修を,家庭裁判所調査官研修部は家庭裁判所調査官の養成や研修を,一般研修部は裁判所事務官等の研修を,それぞれ担当しています。
事務局部門は,五つの課が置かれ,研修,研究が円滑に行われるよう研修部門を支援しています。
4. 施設
裁判所職員総合研修所には,敷地(約4万m2)の中に,以下の五つの棟があります。
- 管理棟
- 研修西棟
- 厚生棟
- 講堂兼体育館
- 宿泊棟
5. 研修
裁判所職員総合研修所における研修は,裁判所書記官及び家庭裁判所調査官を養成するための研修(養成課程)とそれ以外の研修との大きく二つに分けられます。
養成課程
ア 裁判所書記官養成課程
裁判所書記官養成課程に入所するには,裁判所の職員として一定の期間勤務した後,裁判所職員総合研修所の入所試験に合格する必要があります。
裁判所書記官は,法律の知識や調書作成等の技能及び裁判所の手続等について分かりやすく説明する能力が必要とされます。
そのため裁判所書記官養成課程では,憲法,民法,刑法,民事訴訟法,刑事訴訟法,家事事件手続法,少年法などの法律について学ぶほか,訴状などの裁判に関する書類の審査・受付,調書などの裁判の手続に関する書類の作成,裁判の進行管理など,裁判所書記官として行う様々な事務に関する知識,技能を習得するための科目が設けられています。
イ 家庭裁判所調査官養成課程
家庭裁判所調査官養成課程に入所するには,総合職試験(家庭裁判所調査官補)に合格して採用される必要があります。
家庭裁判所調査官は,心理学,社会学,教育学などの行動科学の専門的知識・技能及び法律知識を身に付けることが求められています。
そのため家庭裁判所調査官養成課程では,憲法,民法,刑法,家事事件手続法,少年法などの法律科目や,臨床心理学,発達心理学,家族社会学,犯罪社会学,教育学,社会福祉学,精神医学などの関係科学科目のほか,調査事務,事例研究,心理テスト技法演習,面接技法演習など,家庭裁判所調査官に必要とされる関係法規や専門的知識・技法に関する様々な科目が設けられています。
これらの課程を修了すると,裁判所書記官,家庭裁判所調査官に任命されます。
養成課程以外の研修
実務に就いている職員に対して,担当職務の知識や能力を向上させるために,次のような研修や研究会を行っています。
- ア 職員の経験年数や役職に応じて,その職務を遂行するために必要な知識や技能を付与するための研修
- イ 民事,刑事,家事,少年等の裁判手続事務や総務,会計等の事務局事務を担当する職員に対し,事務処理能力の向上を図るための研修や,事務を改善する方策を検討する研究会
6. 研究
裁判所書記官や家庭裁判所調査官の事務について,専門的な研究を行っています。研究結果は報告書にまとめ,全国の裁判所に発信し,実務の改善及び向上に役立てています。
7. アクセス
郵便番号351-0196
埼玉県和光市南二丁目3番5号
TEL048(452)5000(代表)
- 池袋駅から和光市駅まで
東武東上線又は東京メトロ有楽町線・副都心線で約20分 - 和光市駅から裁判所職員総合研修所まで
東武バス又は西武バスで次に掲げるバス停まで約10分
税務大学校(西武バスは税務大学校和光校舎)バス停から徒歩約5分
税務大学正門バス停から徒歩約3分