養成及び研修・研究について

1. 養成課程

図版:裁判所書記官、家庭裁判所調査官になるまでの流れ。以下の文章で説明している裁判所書記官養成課程、家庭裁判所調査官養成課程の流れを図にしたもの。

(1) 裁判所書記官養成課程

 裁判所書記官養成課程に入所するには、裁判所の職員として一定の期間勤務した後、裁判所職員総合研修所の入所試験に合格する必要があります。養成課程の期間は、法学部卒業者等(裁判所書記官養成課程第一部)については約1年間、それ以外の者(裁判所書記官養成課程第二部)は約2年間です。
 裁判所書記官は、裁判手続に関する書類や記録等の作成・保管、裁判官が行う法令や判例の調査の補助、その他法律で定められた様々な仕事(裁判所書記官の仕事について詳しく知りたい方はこちら)を通じて、適正迅速な裁判の実現のために、裁判官とともに裁判運営を支えています。したがって裁判所書記官には、法律の知識や調書作成等の技能だけでなく、コートマネージャーとして、裁判官と連携し、裁判の当事者等との連絡・調整を通じて裁判を円滑に進める能力も必要とされます。
 そのため裁判所書記官養成課程では、憲法、民法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法、家事事件手続法、少年法などの法律について学ぶほか、訴状などの裁判に関する書類の審査・受付、調書などの裁判の手続に関する書類の作成、裁判の進行管理など、裁判所書記官として行う様々な事務に関する知識、技能を習得するための科目が設けられています(科目の詳細はこちら(PDF:227KB))。また、研修の途中では、各地の裁判所で実際の裁判手続を通じて裁判所書記官の仕事を体験する実務修習を行っています。

(2) 家庭裁判所調査官養成課程

 家庭裁判所調査官養成課程に入所するには、総合職試験(家庭裁判所調査官補)に合格して採用される必要があります。養成課程の期間は約2年間です。
 家庭裁判所調査官は裁判官の命を受けて、家庭内の紛争や非行の背景にある人間関係や環境等について調査をしたり、児童相談所、保護観察所、少年鑑別所等の関係機関との連絡調整を行いながら、その紛争解決に寄与するための活動を行っています(家庭裁判所調査官の仕事について詳しく知りたい方はこちら)。したがって家庭裁判所調査官には、心理学、社会学、教育学などの行動科学の専門的知識・技能及び法律知識はもとより、専門的知識・技能を生かして適切な働き掛けをする力などを身に付けることが求められています。
 そのため家庭裁判所調査官養成課程では,家庭裁判所調査官に必要とされる関係法規や専門的知識・技法に関する様々な科目が設けられています(科目の詳細はこちら(PDF:238KB))。また、研修の中盤では、約1年1か月の間、各地の家庭裁判所において、実際の事件を担当して、家庭裁判所調査官の事務の実際を学んでいます。

 これらの課程を修了すると、裁判所書記官、家庭裁判所調査官に任命されます。

写真:裁判所書記官養成課程における全体講義の様子、家庭裁判所調査官養成課程における面接技法演習の様子

 ※養成課程生が出演する裁判所職員の採用案内動画はこちら

2. 研修

 各地の裁判所で各種の事務を担当している職員を対象に、次のような、担当事務の遂行に必要となる知識や執務能力の向上を目指した研修や研究会を行っています。参加者が研修所に集合して行う研修のほか、職場からウェブ会議を用いて参加するリモート形式の研修も行っています。(直近の研修実施結果報告はこちら(PDF:379KB)

ア 職員の経験年数や役職に応じて、職務を円滑に遂行するための知識や考え方、スキルを修得し、実践につなげる視点を獲得するための研修等

イ 民事、刑事、家事、少年等の裁判手続事務や総務、会計等の事務局事務を担当する職員を対象に、執務能力の一層の向上を図り、事務を改善する方策を検討するための研修(研究会)

図版:裁判所で行われる主な研修の体系。裁判所事務官等、裁判所書記官、家庭裁判所調査官の職種ごとに行っている、新採用職員層、養成課程、中堅職員層、管理職員層の段階に応じた研修を図にしたもの。

3. 研究

 裁判所書記官や家庭裁判所調査官の事務について、専門的な研究を行っています。研究結果は報告書にまとめ、全国の裁判所に発信し、実務の改善及び向上に役立てています。