トップ > 各地の裁判所 > 最高裁判所 > 各種委員会 > 医事関係訴訟委員会について > 第21回医事関係訴訟委員会・第19回鑑定人等候補者選定分科会議事要旨
1. 日時
平成21年3月2日(月) 午後3時
2. 場所
最高裁判所中会議室(2階)
3. 出席者(敬称略)
委員
森亘(委員長),鴨下重彦,川名尚,菊池信男,木下勝之,杉本恒明,三羽正人,武藤徹一郎,山口武典 [橋元四郎平は欠席]
特別委員
名川弘一,御手洗哲也 [前川和彦は欠席]
オブザーバー
浜秀樹(東京地裁判事),大島眞一(大阪地裁判事)
事務局
小泉博嗣(民事局長),手嶋あさみ(民事局第一課長),朝倉佳秀(民事局第二課長)
4. 議事
(1) 開会の宣言
(2) 平成20年の医事関係訴訟統計について
事務局から,平成20年の医事関係訴訟事件の最新の動向について説明があった。
(主な意見)
- 最近は,医療機関によってはカルテを基に説明会を催すこともあると聞いている。そういう取組の中で,裁判所が関与するまでもなく,話合いによる解決ができるものは訴訟前に解決し,判断の難しい事件が裁判所に持ち込まれている可能性がある。
(3) 医療訴訟連絡協議会等(平成20年)の開催結果報告
事務局から,各地方裁判所において開催されている医療訴訟連絡協議会や医療訴訟ガイダンス等,医療の専門家と法曹関係者の意見交換の取組につき,平成20年1月から12月までの間の開催結果について報告があった。
(4) 鑑定人候補者推薦依頼について
ア 推薦依頼をした事案の経過及び推薦依頼先学会選定結果の報告
事務局から,本委員会から各学会に対して鑑定人の推薦依頼をした事案について,別添「医事関係訴訟委員会において推薦依頼をした事案の経過一覧表」(PDF:133KB)に基づき,経過報告があり,また,平成20年6月までに推薦依頼のあった5件の事案,平成20年9月までに推薦依頼のあった2件の事案,及び平成20年12月までに推薦依頼のあった5件の事案のうち4件について,別添「推薦依頼のあった事案等について」(PDF:17KB)のとおり,推薦依頼先学会が選定された旨の報告があった。
イ 推薦依頼先学会選定作業における回答用紙改訂の報告
事務局から,各委員が推薦依頼先学会の候補を回答する際に,複数の学会に依頼した方がよい事案なのか否かを区別して記載できるように回答用紙の改訂を行い,平成20年10月分から実施している旨報告があった。
ウ 推薦依頼先学会の検討
平成20年12月までに推薦依頼のあった5件のうち1件について,別添「推薦依頼のあった事案等について(平成21年3月2日)」(PDF:9KB)のとおり,推薦依頼先学会の選定がされた。
(5) アンケートの取りまとめ結果を日本医学会等に送付したことの報告
事務局から,前回委員会で報告したアンケートの取りまとめ結果を各推薦依頼先学会へ周知するために,アンケート結果の概要を作成して日本医学会に送付し各推薦依頼先学会を含む所属分科会への配布を依頼するなどの方法を執ったことについて報告があった。
(主な意見)
- 批判的な意見についても,本委員会でフォローアップするなどして,徐々に鑑定の質を上げていく努力をしなくてはならない。
- このように数的な処理をしたアンケートも非常に貴重な資料であるから,これらを取りまとめて,日本医学会等に送付するというのはよい方法である。
- 個別の事案の鑑定内容の評価について,本委員会で審議するのは難しい。
- 裁判体が個別の鑑定をどのように評価しているかは,判決を読むとある程度分かる。判決内容等を鑑定人に知らせる体制は整っているので,各鑑定人は,そのような形で,各人の鑑定がどのように受け止められているかを知り得ることにはなる。
- これから鑑定をやろうとする人たちの仕事をやりやすく,より良いものにするために,良い鑑定の例を示したり,鑑定に慣れている医師の経験を伝えてもらうことが考えられる。
(6) 鑑定人候補推薦のための組織づくりを学会に依頼することについて
事務局から,「鑑定人候補者推薦等の組織を設けることを所属分科会に促すよう日本医学会に依頼する」ことについて説明があり,了承された。
(7) 地裁・高裁における鑑定人候補者確保のための取組状況について
事務局から,各高裁ネットワークの運用実績及び地裁レベルでのネットワークやその連携について,最新の状況を報告するとともに,オブザーバーから,東京・大阪の各管内の運用状況等につき,補足的に説明があった。
(主な意見)
- 本委員会の鑑定人候補者推薦依頼の仕組みは,全国をカバーするものとして,初めから非常に組織的に構築されている。他方,各地裁,高裁のネットワークは,地域の医療機関との対話が進んでいく中で,医療機関の数,医事関係訴訟事件の数などを総合的に加味して,多様な形態となっている。
- 地域の取組が非常に進んで,果たす役割も大きくなっているが,全国的な組織である本委員会に依頼する事件はなくならない。地域の中だけでは鑑定人を賄えないような難しい事件もいまだに存在する。
- 委員会があるから,地域のネットワーク化が進んできたという理解もできる。
- 鑑定人候補者の給源の少ない地域では,依然として鑑定人の確保には苦労する場合があるが,裁判官にとって,最後には本委員会の推薦依頼システムがあるという安心感は大きい。
(8) 次回の予定及び委員の退任について
次回の委員会は本年秋ころを目途に開催する方向で調整することが確認された。また,橋元委員長代理が,本年6月24日の任期満了をもって退任する旨が報告された。