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平成20年12月
東京地方裁判所知的財産権部
(民事第29部,第40部,第46部,第47部)
1. 閲覧等制限の申立てについて
閲覧等制限の申立ては,訴訟記録中に当事者の私生活上の重大な秘密,当事者が保有する営業秘密等が記載又は記録されている場合に,当該部分の閲覧若しくは謄写,その正本,謄本若しくは抄本の交付又はその複製の請求をすることができる者を,訴訟の当事者だけに限ることを求めるものです(民事訴訟法92条1項)。
閲覧等制限の効果は,これを認める裁判所の決定があった場合のほか,閲覧等制限の申立てがあってからその裁判が確定するまでの間においても暫定的に発生します(民事訴訟法92条2項)。
2. 申立てについて
(1) 書面申立て
申立ては書面でしなければなりません(民事訴訟規則34条1項)。
(2) 申立手数料
申立書ごとに500円となります(民事訴訟費用等に関する法律3条1項別表第1の17項イ)。
(3) 申立書提出先
ビジネス・コート(中目黒庁舎)2階の民事訟廷事務室に提出してください。
(4) 秘密記載部分の特定等
訴訟記録中の秘密記載部分を特定するとともに(民事訴訟規則34条1項),民事訴訟法92条1項各号所定の事由を疎明する必要があります(同項)。閲覧等制限の対象となる秘密記載部分の特定に当たっては,申立書及び添付書類に当該秘密自体の表示をする方法は避け,当該部分の位置を指定する方法によってください(申立書記載例参照)。したがって,過誤の防止,閲覧等制限部分を分かりやすくするなどのために,閲覧等制限の対象となる秘密が記載された書面をそれ以外の書面とは別に作成したり,あるいは閲覧等制限の対象となる秘密記載部分を別紙にしておくなどの工夫が必要です。
(5) 申立書副本の直送
相手方当事者から閲覧等制限の申立てについての意見聴取等をすることがあるため,相手方当事者に直送することに特段の困難な事情がない限り,相手方当事者あてに申立書副本を直送してください。
(6) 裁判官用手控え等の提出
審理の促進のため,裁判官3名分の手控えとして,申立書写し3部(調査官が関与している事件については,調査官用手控えのための1部を加えた4部)の提出をお願いしています。また,準備書面,書証等の一部について閲覧等制限の申立てをする場合には,当該閲覧等制限の申立てに係る部分をマスキングした準備書面,書証等の写し1部(第三者からの閲覧等請求があった場合に閲覧等に供されるもの)の提出もお願いしています。
3. 審理及び決定について
(1) 意見聴取等
決定に際しては,必要に応じて,相手方当事者から閲覧等制限の申立てについて意見聴取を行うことがあります。また,相手方当事者から意見書等の書面の提出があった場合には,申立人に当該意見書等に対する反論を求めることがあります。
(2) 決定に対する不服申立て
閲覧等制限の申立てを却下する決定がされた場合には,申立人は,即時抗告をすることができます(民事訴訟法92条4項)。
4. 留意事項
(1) 申立ての時期について
準備書面,書証等の提出と同時又は提出後速やかに申立てをしてください。これら書面等が提出された後で,いまだ閲覧等制限申立てがされていないうちに第三者がこれら書面等を閲覧等してしまった場合には,閲覧等制限の要件を欠いてしまうことがあります。
(2) 決定の効力について
閲覧等制限決定の効力の及ぶ範囲は,決定で特定された訴訟記録中の秘密記載部分に限られ,たとえ同じ秘密であっても,決定後に作成又は提出された書面等に含まれる秘密記載部分にはその効力が及びません。これら書面等について閲覧等制限を求めるには,その都度,新たな申立てをする必要があります。したがって,決定後に作成又は提出される書面等には,既に閲覧等制限のされた書面の該当箇所を引用するにとどめるなどして,書面等に営業秘密をそのまま記載することを避ける工夫をしてください。
(3) 判決書について
準備書面,書証等に閲覧等制限がされている事件の判決書に,閲覧等制限がされている事項と同一の記載があった場合でも,判決書のその該当部分に当然に閲覧等制限がされていることにはなりません。したがって,判決書について閲覧等制限を求めたい場合には,改めて,判決書の交付を受けた後に直ちにその申立てをする必要があります。なお,知的財産権部の判決は, 原則として最高裁ホームページに掲載されることになっていますから,その申立時期について御注意ください。
【記載例2】書面の一部の閲覧等制限(別紙利用)(PDF:60KB)
以上