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第10回医事関係訴訟委員会・第8回鑑定人等候補者選定分科会議事要旨

1. 日時

平成15年6月9日(木)午後3時

2. 場所

最高裁判所中会議室(2階)

3. 出席者(敬称略)

委員

森 亘,大西勝也,鴨下重彦,川名尚,菊池信男,木下勝之,杉本恒明,永井多惠子,橋元四郎平,平山正剛,武藤徹一郎,山口武典(黒川高秀は欠席)

特別委員

名川弘一,御手洗哲也(前川和彦は欠席)

オブザーバー

前田順司,角隆博

事務局

菅野雅之,舘内比佐志

4. 議事

(1)開会の宣言

(2)「報告書 医事関係訴訟委員会のこれまでの軌跡」について

前回,医事関係訴訟委員会のこれまでの2年間の経過等をまとめた報告書を作成することが了承されたことを受け,前回の議論も踏まえて作成した「報告書:医事関係訴訟委員会のこれまでの軌跡」の最終案について,検討,了承を得た。

(3)推薦依頼をした事案の経過報告等

事務局から,本委員会で推薦依頼した事案について,別添「医事関係訴訟委員会において推薦依頼をした事案の経過一覧表」(PDF:1.7MB)に基づき経過報告がなされた。

(4)推薦依頼について

今回推薦依頼のあった事例5件(新規依頼4件,再度依頼1件)について,別添「推薦依頼のあった事案等について」(PDF:11KB)のとおり,依頼先学会が選定された。

(5)鑑定手続について

前回の議論を踏まえ,鑑定手続についてのガイドライン的なものを示してはどうかとの提案を受け,事務局から鑑定手続の基本的な流れについての説明がされ,引き続いて討議がなされた。

((5)に関する主な発言)

  • 鑑定人が鑑定を行うに当たり,他の専門家に意見を求め,それを参考にして鑑定書を作成することがある。その場合,意見を述べた専門家は鑑定人ではないので,裁判所から意見を述べた者に鑑定料等を支払う方法はないという。一方,鑑定書の中で意見が参考となったことが明らかな場合,意見を述べた者として証人尋問の対象となることもあると聞いている。それでは,鑑定人から意見を求められても参考意見を述べたいという人はなかなかいないのではないか。
  • 個人的には,1人の鑑定人が単独で鑑定を行う形が,基本だと考える。複数名による鑑定の長所として,公平性・客観性を高める,鑑定人の時間的・精神的負担を軽減するという点が挙げられることもあるようだが,単独であっても公平性・客観性は保つことができると考えるし,精神的負担はともかく,実際にかかる手間は,1人で行う場合も複数で行う場合もあまり変わらないように思う。
  • 鑑定料等を含めた鑑定手続に関して,医師,弁護士,裁判所が率直な意見を述べ合う機会はなかなかないように感じる。
  • 医師の立場から見ると,どうやって鑑定料が決まるのかよくわからない,と感じることが多い。学会から推薦された場合,学会に鑑定料の基準を示してくれという意見が医師から挙がることがあるが,学会でもわからないので,結局裁判所に問い合わせることになる。
  • 通常は,まず医療機関等から鑑定人候補者の推薦を受ける,次に裁判所と鑑定人候補者で鑑定事項や鑑定料の額について協議する,協議が整って鑑定人を引き受けてもらうことが決まった後に正式に鑑定人として選任する,という流れになる。鑑定料は,当事者の予納した金額から支払われるので,鑑定の申立人の経済状況も鑑定料を考慮する要素の一つである。鑑定料の協議をする際に,当事者が予納できる金額がいくらぐらいである,ということを鑑定人候補者にお知らせしている。
  • 鑑定料は,申立人の経済状況や,鑑定に要する時間や鑑定事項の難易度といったものから考慮される。時間や難易度は,鑑定書をある程度作成してもらわないとわからないであろう。例えば,当事者の予納がいくらで,鑑定に何時間かかったか,に基づいて決めるのがわかりやすいのではないか。

    ※ 鑑定手続についてのガイドライン的なものを作成することについて,今後とも事務局と相談しながら検討していくこととなった。

(6)医療問題弁護団等から送付された意見書について

医療問題弁護団,医療事故情報センター,医療過誤問題研究会(三者の連名)で,医事関係訴訟委員会及び一部委員あてに送付された意見書について,事務局から報告され,意見交換が行われた。

※ 意見書は,「鑑定書の公表,学会内推薦手続の透明化,学会内鑑定結果事後評価制度の確立促進,委員会による鑑定書の内容の評価を求める」趣旨のものである。

※ 意見書の内容は今後の委員会の審議の参考とすることとなった。

(7)全国医学部長病院長会議総会への参加報告

事務局から,本年5月16日に東京で開催された全国医学部長病院長会議総会に最高裁判所事務総局民事局第二課長が出席し,「医事関係訴訟に関する裁判所における最近の取組」について講演した旨の報告がなされた。

(8)次回以降の委員会の予定,日程等

次回の委員会及び鑑定人等候補者選定分科会は平成15年10月ころに,次々回は平成16年2月ころに開催を予定している旨確認された。

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