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大谷最高裁判所長官による記者会見「裁判員制度10周年を迎えて」の概要

 大谷最高裁長官は,裁判員制度10周年を令和元年5月21日に迎えるに当たって記者会見を行い,談話を発表するとともに,以下のとおり,記者からの質問に応じました。

【記者】
  裁判員制度が10年の節目を迎えるに当たりまして,制度への定着や刑事裁判に与えた効果などを御総括いただいた上で,残された課題やそれに対するお考えなどをお聞かせ下さい。

【長官】
  基本的には冒頭で申し上げたとおりですけれども,若干敷衍して申し上げたいと思います。
  まず,この間の成果という観点から申し上げると,法曹三者の協力の下,過度に精密な司法,あるいは調書裁判などと評されてきた従来の刑事裁判の運用から脱却し,核心司法・公判中心主義を実現するための取組が進められ,裁判員と裁判官が公判廷で必要な証拠に直接触れ,的確に心証を採ることができる審理が幅広く行われるようになったと言えると思います。先般,私も東京地裁で行われた裁判員裁判,強盗致傷の事件でしたが,これを傍聴してきました。裁判員裁判スタート時点と比較すると,公判の分かりやすさに向けて全国で重ねられてきた努力は,着実に実を結んでいると感じました。
  判決も,判断の分岐点を意識して結論を導いた理由を簡明に記す,国民にも分かりやすいものが増えており,判断内容も,裁判員の視点・感覚を反映し,より多角的で深みのあるものになってきたと思っています。
  ここで,一言付け加えさせていただきますと,裁判所で出しています『司法の窓』の最新号に掲載されました裁判員経験者の方からの実際の手紙を見ますと,その中に「もし裁判員制度が,一般人に裁判を身近に感じてもらうという意味だけでなく,それまでの凝り固まった裁判を活性化させるという側面もあったのならば,素人冥利に尽きます。」というくだりがあります。このことに私は,大変感銘を受けました。さまざまな負担を負いながらも裁判員を務めていただいた国民の皆さん方のこうした高い志が,刑事裁判の変化を支えていただいていることに,改めて感謝したいと思います。
  次に課題の面ですけれども,当面現れてきている重要な課題については,先ほど申し上げたとおりです。裁判員制度の意義に法曹三者が改めて思いを致し,10周年をゴールではなく通過点と考えて,これまでの法曹の論理や思考の枠組みにとらわれることなく,裁判員の声に真摯に耳を傾けることによって,新しい時代の裁判像を探求していく,そういう姿勢が大切であろうと思っています。

【記者】
  家庭裁判所は今年,創設70年を迎えました。背景事情が複雑な家事事件や少年事件が増えていると言われておりますし,少年法の適用年齢の引き下げの議論などもあります。こうした点を踏まえまして,家庭裁判所に対する国民の期待,求められる役割などをどのようにお考えになるか,お聞かせいただけますでしょうか。

【長官】
  家庭裁判所が昭和24年1月1日に創設されてから今日に至るまで,社会経済の状況は著しく変化し,家族の在りようの変化や少子高齢化,あるいは個人の権利意識の高揚などを背景にして,家族をめぐる紛争の様相も大きく変わってきていると思います。
  また,少年事件においても,社会的関心を集める重大事件や家庭等の環境に根深い問題を抱えた少年の事件も少なくなく,また,再非行に及ぶ少年の割合が依然として高いという問題もあります。家庭裁判所は,そうした時代の変化を踏まえて,家庭事件の適切な解決を図っていかなければならないと思います。
  また例えば,成年後見の分野でいうと,御承知のように成年後見制度利用促進基本計画の中で,家庭裁判所は,いわば地域の力を結集して本人と後見人を支える態勢を構築する取組との連携を求められているわけですが,これは,家庭裁判所の在り方が時代に応じて変わっていくということを象徴しているのではないかと思っています。
  国民の期待に応えられるよう,家庭裁判所としての機能を一層充実させていくことが求められているのではないかと考えているところです。

【記者】 
  憲法記念日,憲法週間に合わせての質問ですが,国民の生き方や価値観が多様化して,憲法を根拠に個人の権利保護を裁判所に訴えるケースが以前にも増して目立っているように感じます。裁判所として,憲法や個人の権利保護にどのような姿勢でお臨みなのか,考えをお聞かせ下さい。

【長官】
  今御指摘があったように,国民の価値観の多様化の進展,あるいは社会経済構造の変化などに伴って社会生活上生じてくる紛争,こういうものについて,裁判所に対して,憲法上の権利保護が及ぶのかどうかということを問う,そういった訴訟が提起される例があり,これが社会的耳目を集めるといったものも少なくないと思います。
  ただ,裁判所に求められる姿勢ということで言えば,国民の権利の擁護と,それから法秩序の維持を図り,もって法の支配をより一層強固なものにする,こういう自らに与えられた役割をきちんと認識した上で,今申し上げたようなそういう類型の事件も含めて,紛争解決が求められて提起される全ての事件について,真の争点の所在を見極めた上で適正妥当な解決を図るということに我々としては尽きるのではないかと考えています。

【記者】
  裁判員裁判の関係でお尋ねします。先般東京地裁の裁判員裁判を傍聴されたというお話がありましたけれども,まずそれがいつかということと,それから長官が裁判員裁判の法廷に入られたのはいつ以来のことなのか教えていただけますか。

【長官】
  連休前の4月です。私自身は,実は裁判員裁判は実際には一審で関与したことはありません。模擬裁判も残念ながら担当したことはありませんでした。今の御質問ですけれども,庁としては3か所,最初は,静岡地裁の所長当時に静岡地裁で傍聴し,それから大阪高裁長官のときに大阪地裁で行われた裁判員裁判を何件か傍聴し,そういう意味でいうと今回が3回目ということになります。

【記者】
  大阪高裁長官のときに傍聴されて以来。

【長官】
  そうですね。

【記者】
  10年というのは制度にとってゴールではなく通過点である,もしくは,制度は完成途上にある,というお話がありました。10年が過ぎた時点で制度の到達度に点数を付ける,もしくは登山に例えると何合目ということで表現いただければと思います。

【長官】
  結論としては,それは難しいと思います。どの時点だったかよく覚えていませんが,スタート時点で裁判員制度を船に例えて,ドックから海に出て,そして湾内を回っているところからいよいよ大海に出ていくところだというようなことを比喩的に言ったことはあります。ただ,この時点で私が今の質問自体に答えるとすれば,これはもう既に出港した船について,10年20年あるいは30年というスパンの中で,考えていかなければならないことなので,これについて何点,何パーセントということを申し上げることはなかなか難しいかなという感じがしています。

【記者】
  航海は順調に進んでいると。

【長官】
  先ほど言いましたとおり,概ね順調に歩み続けていると思っています。

【記者】
  先ほどの長官の御発言の関連ということでお聞かせください。先ほど「新しい時代の裁判像を探求していきたい」というお話がありまして,その関連でお聞きします。守秘義務について,裁判員の経験者だったり,一部の弁護士さんに聞いたのですけれども,自分自身の体験を語りにくいだとか,まだ経験していない市民からは,自分たちから体験のことを聞きにくいというような指摘もあります。理由としては,守秘義務がちょっと厳しいだとか,ちょっと分かりにくいという理由を挙げる方もいらっしゃいます。それに関連して,長官は,裁判員制度とか司法への正しい理解,そして関心を深めるという観点で,守秘義務の在り方を最高裁として何らか見直されるという御予定,御検討の必要性を感じてらっしゃいますでしょうか。

【長官】
  今の御質問にあったような声を前提にして法律を変えた方がいいのではないかという御質問だとするとコメントすることができませんので,運用論ということで申し上げると,今のような御指摘があることは私も承知しています。ただ,裁判員経験者の方々から幅広く意見を実際の裁判を担当した裁判官たちも聞いているわけですが,そういう方々の意見を見る限り,あるいは私が聞く限りでは,現在の運用の改善が是非とも必要だという声が非常に強いということではないように思います。裁判所としては,一方で今の御指摘のような意見もあることは事実ですから,裁判員や経験者の方々と色々な機会に対話を重ねる中で,守秘義務の存在意義とか,あるいは適用範囲といったことについて正しい理解を得るためにどのような留意が必要かということを,更に意識しながら裁判運用を行っていくということではないかと思っています。

【記者】
  裁判員裁判の判断が控訴審である二審で覆ったり変更されるといったことについて,納得できない気持ちを持たれる経験者の方も一部おられます。そうした方にどのように裁判員制度に対する理解を求めるかとか,どのような説明ができるかということについて,何か長官のお考えがあえば,お伺いしたいのですが。

【長官】
  少し,脇道に逸れるかもしれませんけれども,「総括報告書」を御覧いただくと,その統計を見ても,制度施行後数年間と比べて,その後の破棄率が高くなっていることは間違いないところです。しかし,裁判官裁判時代と数字を比較すると,破棄率は下がっているという実情にもあります。この点,お尋ねの点ではないのですけれども,破棄ということで御関心でしょうから併せて申し上げると,破棄率が当初から比べて高くなっている理由は,もう少し時間をかけて検討すべきだろうと思います。そのために重要なことという点で申し上げると,破棄事例というのは,基本的には,控訴審から見れば,あるべき裁判員裁判像に照らして,審理あるいは評議といったものが十分とは言えなかったと評価されたということなのだろうと思うわけです。したがって,その意味合いというのを個別事件ではなくて一般的な形で整理するために,高裁を含めて,裁判員裁判を担当している裁判官の間で広く共通認識といったものを作っていく作業が重要ではないかと思っています。そのためには,控訴審判決の中でその点がどう示されているかということを手がかりにして,今言った裁判官同士の議論を深めていく必要があるように思いますし,現にそういう試みというのは始まっていると聞いています。
  破棄された事件について,裁判員の方々の思いというのは,分からないではないのですけれども,この制度は,裁判員裁判については,控訴できないとか,あるいは控訴理由が限定されているとかいった制度建てでスタートしたわけではありません。したがって,破棄されるということは,あり得ることとして想定されているわけです。しかしそうは言っても,やはり色々思いがある方々に対しては,今申し上げたように,なぜ破棄がされたのだろう,それは裁判員裁判の審理のどこに問題があったと高裁は考えているのか,あるいは評議でこの点をもう少し議論してほしかったと考えているのか,そういうことを裁判所全体で考えていくという作業を今行っていると申し上げることはできるのかなと思います。

【記者】
  先ほど長官もおっしゃっていましたが,裁判員候補者の辞退率が上昇傾向にあると。総括報告書では,まだ運用に影響を及ぼすレベルではないという評価でしたが,今後もより多くの国民の方に参加いただくために,裁判所として方策も必要ではないかなと思うのですが,その辺のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

【長官】
  辞退率が上昇していることをどう見るかという御質問としてお伺いしますけれども,これは要因が一体どこにあるのかという事がまだ正直言ってきちんと分かっていないところがあるのかなと思います。一つの見方として言えば,裁判員制度という新たな制度が日常的なものとして社会に定着して,国民にとって,法律で定められた辞退事由があるのにあえてそれを押して参加しようと,こういうような特別な制度ではなくなったという面もあるのかなと思っています。ただ,それが全てだとは思っておりませんし,制度を運営する裁判所側の意識の緩みというものをそういった理由を挙げることによって拡大させるということは決してあってはならないことなので,お答えになっているかどうかは分かりませんけれども,まずは動向を注視するとともに,広報活動といったものも含めて,いわば地道な努力を,あるいは取組を続けていくということなのではないかと考えているところです。

【記者】
  裁判員裁判が始まって,裁判官裁判の時代に比べると判決の量刑の幅が上下に広がったと。殺人事件では比較的厳しめの判決が出ていますが,放火事件では執行猶予判決が相次ぐなど寛大な判決が増えているという報告があります。なぜ裁判員裁判になって,かつて「量刑相場」という言葉もありましたけれども,これほど量刑に幅が生まれたのか,長官のお考えをお聞かせいただけたら。あとは,裁判員の方の意識,意見が量刑にどのように反映されている結果と受け止めておられるかという点をお聞かせください。

【長官】
  もともと裁判員裁判を導入するときの意味合いとして,当初から量刑について,今まさにおっしゃったいわゆる「量刑相場」と呼ばれているような非常にリジッドな量刑の在り方というのが本当にいいのだろうか,国民の視点で見たときに,もう少しその事案に対しての量刑の考え方を再検討する必要があるし,裁判官としてはそういう視点を裁判員とともに議論してみる必要があるのではないか,ということが議論されていたわけです。そういう意味では,制度が入ったことによってその事件に即した量刑についての裁量を行使する,そういう余地が広がるだろうということは想定されていたので,今御質問のあったような事態というのはあらかじめ想定されていたことなのかな,と思います。ただ,その点を捨象してみると,いろんな量刑があるではないかという見方が場合によってはあり得るわけで,これからの課題としてはそういった変化を踏まえて判決において量刑理由をどう説得的に説明していくか,その点はこの10年間の到達点がベストというわけではなく,判決理由を考えていく,検討していくという作業があるかもしれません。そのためには,裁判官が1人で考える,文章技術上考えるということではなくて,評議をどう充実させていくか,その量刑に至ったことについての評議をどう裁判員との間できちんとクリアしていくかと,こういうことにもっと努力を払っていく必要があるのだろう,と思っています。

【記者】
  さきほどの辞退率の関係で,出席率について伺いたいのですけれども。平成30年は若干改善が見られたと思うのですが,依然として3割超の方が正当な理由なく選任手続を無断欠席するという状況が続いております。それに関する長官御自身の受け止めとですね,こういった方たちへのアプローチについて何か方策等お考えがありましたらお聞かせいただけますでしょうか。

【長官】
  欠席率が高まっていったことについては私ももちろん大きな関心を持って見ていたところです。その結果,報告書にも書いてあるとおり,あるいは先ほどお話ししたとおり,一定のところで悪化の状況が止まって好転しているという気配が見られて,悪化を防ぐため,改善するために,呼出状が不送達になった場合の再送達とか,あるいは事前質問票が期限までに返送されなかった場合の返送の再依頼といった運用上の努力を各庁が行ってきたところですので,その効果が出ているとすれば,もう少しその動向を見ていく必要があるのだろうと思っています。辞退率のところでお話ししたことと全く同じですが,だからと言って意識を緩めてしまっては,制度の存立に関わることになりかねませんので,十分留意しながらではありますけれども,当面そういう方策が一定の効果を上げたとすれば,その効果の意味合いなどについて,もう少し見ていくことが必要なのかなと考えています。

【記者】
  長期間の審理に及ぶ事件についてお伺いします。法律の改正によって著しく長期の場合は,除外できるという規定ができたわけですけれども,今までに適用例がないと承知しています。法律上は選任が困難であるとか,職務遂行が困難である場合に除外できるという規定になっているわけですけれども,これをどう適用するべきであるのか,その運用の在り方,裁判事項に関わりますけれども,その運用の在り方ないしは考え方について,長官御自身が今お考えになっていること,もしお話しいただけることがあるのであれば,お聞かせいただければと思います。

【長官】
  どういう考慮をしてそれを働かせるべきかということについては,具体的な事例が積み重なっていくところで,私個人としても今の立場の中で考えていくことになると思うのですが,まだ,制度の枠組みができたけれどもシビアにならずに,もちろん裁判員の方々に非常な負担の上で参加していただいて,年齢構成とかあるいは職業構成などについても偏ったものになっていないという現状がありますので,ここはもうしばらくどのくらい運用が続けられるかどうかを見ていくのが適当かなと考えています。

【記者】
  報告書にもありますけれども,経験者の方のアンケートだと「いい経験だった」という方が9割を超えている状況が続いているということで裁判所の広報でもその点を強調されている面があると思います。ただその内情をみると,例えば「楽しかった」とか「面白かった」とか被告の立場からするとあまりいい気持ちがする言葉ではない部分もあるのではないかという気もしています。長官のお考えとして,裁判員を経験する方にとって,裁判員をやるということがどういう経験であってほしいか,という願いといいますかお考えがあれば教えてください。

【長官】
  その方にどういう影響を与えるような経験であってほしいかということは,私が申し上げることではなく,それぞれの裁判員経験者の思いでいろんな多様なものがあるのかなという気がします。ただ,もとより,裁判員裁判は,裁判官とチームを組んで一つの刑事事件,しかも重い刑事事件の被告人の運命を左右するようなものに判断を示していくわけですから,やはりそこは証拠に基づいて事件を見て,そして意見を戦わせて結論に至ると,ここを誠実にやっていただくということが重要であるのは言うまでもありません。私はそのプロセスについて現状でいえば,裁判員の方々は皆さんそういうことについて理解を示し,実際にもそこに取り組んでいただいたと思っています。95パーセント以上の方が「充実していた」というふうに感じておられるのは,私はその結果ではないかと思っています。そういう裁判員の経験を一個一個の事件の中で経験していただくことが重要だし,裁判官としては議論や意見交換の場というものを一個一個の事件で設けていく必要があるだろうと思っています。

【記者】
  裁判員経験者の方に,被告人がその後きちんと更生したのか気にされる方が非常に多くいます。その観点からお尋ねするのですが,裁判員制度になってから公判や判決を含めて被告人への感銘力という意味で,従来の裁判官裁判から高まったというふうに見ていらっしゃいますか。それともまだ判断する材料に乏しいというところでしょうか。

【長官】
  前半の部分はさておき,感銘力ということについて裁判官裁判時代と裁判員裁判で変わったのかという御質問として考えると,それを一言で何か申し上げられるようなものがあるわけでなく,ただ,制度として多様な視点を入れていく,先ほど言いましたような非常に堅い量刑の,例えば枠組みのようなものから出てくることを前提とした判決書の書き方に比べると,多様な視点を入れて,しかもその裁量がパネル,裁判員を入れた裁判体に委ねられているということを前提として,なぜこの刑を適当と考えたのかということについて多様な意見を取り込んだ判決書というものが,事実認定も同じだと思いますけれども,量刑でも本来予定されている。それを被告人が聞いたときに,もとより不服な部分もあるかもしれませんけれども,ワイドレンジというか,色々なものをこの裁判体が聞いてくれたということを理解してもらう。感銘力というのかインパクトというものが従来に比べて広がっている,大きくなっているということが,制度として期待されているのだ,と思います。

【記者】
  冒頭,長官も公判前整理手続の長期化について課題に挙げられましたけれども,事案によって長短がどうしても出てくるということはあると思います。報告書の中でも短縮化,なるべく早く公判審理に入ることが望ましいと書かれていますが,長官として,短縮化に向けて色々な論点があると思いますが,どのような方策があると考えていらっしゃいますでしょうか。

【長官】
  結論としては,報告書に書いてある以上に私に何か本来妙案があれば提起すべきなのかもしれませんが,そういうものがあるわけではありません。言うまでもなく公判準備が過度に精密になって公判開始が遅延してしまうというのは,いくらその後の公判期間を短縮してみても本末転倒としか言いようがない場合があるわけで,法曹三者の問題として今の時点でいえば,これまでの裁判員裁判で蓄積されてきた実例というものを,それぞれの立場で整理して,そして,公判前整理の期間が無用に長期化するということは,裁判員の分かりやすさ,あるいは公判の活性化という大きな方向性にどんな影響を与えているのだろうかというような視点も踏まえて,公判前整理や公判準備の在り方についてまずはそれぞれが考え,その上で真摯な意見交換を三者の間で深めていくということがやはり必要だろうと思っています。