トップ > 各地の裁判所 > 東京地方裁判所/東京簡裁以外の都内簡易裁判所 > 裁判手続きを利用する方へ > 民事第21部(民事執行センター・インフォメーション21) > 無剰余取消しを回避する方法について
次の各場合を無剰余といいます。
- 差押債権者の債権に優先する債権(以下「優先債権」という。)がない場合において,不動産の買受可能価額が執行費用のうち共益費用であるもの(以下「手続費用」という。)の見込額を超えないとき。
- 優先債権がある場合において,不動産の買受可能価額が手続費用及び優先債権の見込額の合計に満たないとき。
執行裁判所が無剰余であると判断した場合には,その旨を差押債権者に対し通知します。この通知を受けた差押債権者が,通知を受けた日から1週間以内に下記(1)ないし(3)のうちいずれかの措置をとらなければ,その競売手続は取り消されることとなります。〔民事執行法63条2項〕
なお,1週間以内にこれらの措置をとることができないときは,その理由及び措置をとるまでに要する期間を記載した上申書が提出されれば,その内容に応じ,競売手続を取り消すまでの期間を伸長する場合もあります。
また,上記の通知書には,優先債権額等の見込額を記載しますが,優先債権者及びその債権の内訳等の具体的な記載をしません。これらを知りたい場合には,記録の閲覧をするなどして確認してください(電話での照会には回答できません。)。
(1) 保証提供の方法
(ア) 差押債権者が買受人となることができる場合〔民事執行法63条2項1号〕
上記の通知書に記載された優先債権等の見込額につき,下記に従ってこれを超える額を任意に定め(申出額),この額以上の買受申出がなかったときには自らが買い受ける旨を申し出て,これと同額の保証提供をする方法〔民事執行法63条2項1号〕
(a) 優先債権がない場合には,手続費用の見込額を超える額を申出額とする。
【書式】書式1「不動産買受申出書」(優先債権がない〔手続費用のみ〕場合)PDFファイル(PDF:20KB) Wordファイル(ワード:15KB)
(b) 優先債権がある場合には,手続費用及び優先債権の見込額の合計以上の額を申出額とする。
【書式】書式2「不動産買受申出書」(優先債権がある場合)PDFファイル(PDF:21KB)Wordファイル(ワード:15KB)
- 差押債権者が買受人となることができない場合は,次の(イ)記載の方法によります。
- 保証提供の方法は,現金,執行裁判所が相当と認める有価証券,支払保証委託契約締結証明書があります(民事執行規則32条1項)。
(イ) 差押債権者が買受人となることができない場合〔民事執行法63条2項2号〕
買受けの申出額が上記の優先債権等の見込額に達しないときは,これらの額の差額を負担する旨を申し出て,この差額に相当する金額の保証提供をする方法
例えば,目的物件が農地であり,買受けの資格が制限される場合がこれに当たります。
この場合,買受可能価額以上の額での買受申出がない場合には,手続は取り消されることとなります〔民事執行法63条3項〕
(2) 剰余を生じる見込みがあることを証明する方法〔民事執行法63条2項ただし書前段〕
例えば,差押債権者より上位の担保権の被担保債権が弁済等により既に消滅して剰余が生じる見込みがあることを証明する等の方法が考えられます。
【書式】書式3「剰余の生ずる見込みある旨の届出」(優先債権がない〔手続費用のみ〕場合)PDFファイル(PDF:19KB)Wordファイル(ワード:15KB)
【書式】書式4「剰余の生ずる見込みある旨の届出(優先債権がある場合)PDFファイル(PDF:26KB)Wordファイル(ワード:15KB)
(3) 優先債権者の同意を得ていることを証明する方法〔民事執行法63条2項ただし書後段〕
【書式】書式5「民事執行法63条2項ただし書所定の優先債権者の同意があることの証明」PDFファイル(PDF:17KB)Wordファイル(ワード:14KB)
【書式】書式6「同意書」PDFファイル(PDF:16KB)Wordファイル(ワード:15KB)
- 買受可能価額で自己の債権全額の弁済を受けることができる優先債権者の同意は必要ありません。
- 優先する公債権がある場合には,当該優先公債権庁のみではなく,交付要求をしている全ての公債権庁の同意があることを証明してもらう扱いです。