裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和51(あ)310
- 事件名
公務執行妨害
- 裁判年月日
昭和53年6月29日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄自判
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第32巻4号816頁
- 原審裁判所名
大阪高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
- 判示事項
一 刑法九五条一項にいう職務の範囲
二 刑法九五条一項における職務の執行中であるか否かの判断に際しその性質上ある程度継続した一連の職務として把握するのが相当であるとされた事例
三 刑法九五条一項における職務の執行が終了したものではないとされた事例
四 公務執行妨害罪の主観的成立要件としての職務執行中であることの認識の程度
- 裁判要旨
一 刑法九五条一項にいう職務には、ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてが含まれる。
二 刑法九五条一項における職務の執行中であるか否かの判断に際しては、日本電信電話公社の電報局長の、局の事務全般を掌理し部下職員を指揮監督する職務及び同電報局次長の、局長を助け局務を整理する職務は、その性質上、その内容及び執行の過程を個別的に分断して部分的にそれぞれの開始、終了を論ずるべきではなく、一体性ないし継続性を有するものとして把握すべきである。
三 本件電報局長の、電報料金の収納等に関する会計書類の点検、決裁の職務及び本件電報局次長の、電報配達業務等に関する上部機関への報告文書作成の職務の各執行が事実上一時的に中断したとしても、その状態が被告人の不法な目的をもつた行動によつて作出されたものである場合には、刑法九五条一項における職務の執行は終了したものではない。
四 公務執行妨害罪の主観的成立要件としての職務執行中であることの認識があるというためには、行為者において公務員が職務行為の執行に当つていることの認識があれば足り、具体的にいかなる内容の職務の執行中であるかまで認識することを要しない。
- 参照法条
刑法38条1項,刑法95条1項,日本電信電話公社法18条,日本電信電話公社法35条
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