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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和55(あ)629

事件名

 公務執行妨害、傷害、同致死

裁判年月日

 昭和58年9月6日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 刑集 第37巻7号930頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和55年2月25日

判示事項

 訴因変更を命じ又はこれを積極的に促すべき義務がないとされた事例

裁判要旨

 第一審において被告人らが無罪とされた公訴事実が警察官一名に対する傷害致死を含む重大な罪にかかるものであり、また、同事実に関する現場共謀の訴因を事前共謀の訴因に変更することにより同事実につき被告人らに対し共謀共同正犯としての罪責を問いうる余地がある場合であつても、検察官が、約八年半に及ぶ第一審の審理の全課程を通じ一貫して右公訴事実はいわゆる現場共謀に基づく犯行であつて右現場共謀に先立つ事前共謀に基づく犯行とは別個のものであるとの主張をしていたのみならず、審理の最終段階における裁判長の求釈明に対しても従前の主張を変更する意思はない旨明確かつ断定的な釈明をしていたこと、第一審における被告人らの防禦活動は検察官の右主張を前提としてなされたことなど判示の事情があるときは、第一審裁判所としては、検察官に対し右のような求釈明によつて事実上訴因変更を促したことによりその訴訟法上の義務を尽くしたものというべきであり、さらに進んで、検察官に対し、訴因変更を命じ又はこれを積極的に促すべき義務を有するものではない。

参照法条

 刑訴法312条,刑訴規則208条,刑法60条,刑法205条1項

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