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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和27(あ)6863

事件名

 強盗殺人

裁判年月日

 昭和28年6月4日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄自判

判例集等巻・号・頁

 刑集 第7巻6号1251頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和27年9月29日

判示事項

 刑訴第四一一条第二号に該当する一事例

裁判要旨

 本件の如く、競輪に熱中し、生活費に困窮するに至つた挙句、白昼年齢五三歳の婦女を所携の菜切庖丁で斬りつけて即死せしめた上、現金一二一円五〇銭在中のナイロン製財布一個を強奪したという強盗殺人犯の動機に諒察すべき点がなく、かつ殺害の方法が残酷な場合でも、被告人は犯行数日前より神経衰弱気味に陥り、兇行当日は多少、通常の平静心を失つていたと認められ、殊に殺害そのものは計画的のものではなく、被告人の制止に拘らず、被害者が大声で救いを求めたため周章狼狽し、その叫び声を止め、発見逮捕を免れようとして発作的にしたものと認められる点、その他被告人に前科なく、競輪の点を除けば平素の勤務振りも精励であつたことや、犯行後の改悛の状況、家庭の情態等酌むべき情状があるときは、これに対し死刑を科することは刑訴第四一一条第二号に該当する。

参照法条

 刑訴法411条2号,刑法240条後段

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