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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和25(あ)1014

事件名

 食糧管理法違反

裁判年月日

 昭和26年9月28日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第5巻10号2131頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和25年2月15日

判示事項

 一 被告人が証書を証拠とすることに同意したと認められる一事例
二 公吏たる地方事務所長の作成した告発書の証拠能力
三 昭和二三年度産米供出割当に対する異議申立の能否
四 昭和二三年農林省令第一一五号附則第二項と食糧確保臨時措置法第六条との関係

裁判要旨

 一 第一審公判において検察官は所論告発書の取調請求をしたところ被告人及び弁護人は右証拠調の請求については別に意見はないと述べたので証拠調が実施されたのである。そして右の証拠調実施後裁判官から意見があるか否か問われたところ被告人及び弁護人は「いずれもなべい」と述べたのである。右の如く被告人及び弁護人が証拠調の請求及び証拠調実施後裁判官から意見を問われた際に別に意見はないと述べた場合には刑訴三二六条にいわゆる「被告人が証拠とすることに同意した」ものと認められるのであるから右告発書が作成されたときの情を考慮し相当と認められるときはこれを証拠とすることができるのである。
二 本件告発書は、西茨城地方事務所長作成にかかるものであり、公吏たる地方事務所長が職務上犯罪があると思料して告発したものであるから原審は右告発書の作成されたときの情況を考慮し相当と認めてこれを採証したものであることは明らかである。
三 昭和二三年一二月一八日農林省令一一五号(食糧管理法施行規則の一部を改正する等の省令)の附則二項には「改正前の食糧管理法施行規則第一条第一項の米麦等で昭和二三年産のものについては改正前の食糧管現法施行規則第一条、第二条、第三条第一項……の規定はこの省令施行後もなおその効力を有する」と規定しており本件は昭和二三年度産米の供出であるから右規定により改正前の食糧管理法施行規則第一条、第三条第一項が適用される食糧確保臨時措置法(昭和二三年七月二〇日法律一二八号)の適用はないのである。従つて本件については同法第六条に規定するが如き割当に対する異議申立権は認められていないのである。

参照法条

 刑訴法326条1項,刑訴法318条,刑訴法326条,食糧確保臨時措置法6条,食糧管理法施行規則(昭和23年12月18日農林省令115号による改正前のもの)1条,食糧管理法施行規則(昭和23年12月18日農林省令115号による改正前のもの)2条,食糧管理法施行規則(昭和23年12月18日農林省令115号による改正前のもの)3条1項,昭和23年12月18日農林省令115号附則2項

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