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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和24(れ)498

事件名

 食糧緊急措置令違反

裁判年月日

 昭和27年1月9日

法廷名

 最高裁判所大法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第6巻1号4頁

原審裁判所名

 名古屋高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和23年10月18日

判示事項

 一 主要食糧を供出時期までに売り渡さないことを煽動する所為と食糧緊急措置令第一一条
二 主要食糧の政府に対する売渡を為さざることを煽動するが如き言動と言論の自由
三 日本国憲法施行後における食糧緊急措置令の効力
四 食糧緊急措置令第一一条の合憲性

裁判要旨

 一 食糧緊急措置令一一条の違反たるには、主要食糧の政府に対する売渡を本質的、全面的に否定することを煽動すると、その売渡の数量の一部を売り渡さないこと若しくは供出時期迄に売り渡さないことを煽動するとを問わないこと論をまたない。
二 主要食糧の政府に対する売渡を為さざることを煽動するが如き言動を処罰することは何等憲法第二一条に反するものでない。
三 食糧緊急措置令は昭和二一年二月一七日旧憲法八条一項に基いて制定された緊急勅令であるが、右は法律に代わるべきものであり、その後適法に帝国議会(昭和二一年八月二七日に衆議院同年九月一七日に貴族院)の承諾を経たものであるから、将来に向つても法律と同一の効力を有するものである。そして、新憲法施行前において適式に制定された法規はその内容が新憲法の条規に反しない限り、新憲法施行と同時にその効力を失うものでないことは当裁判所の判例とするところである(昭和二二年(れ)二七九号同二三年六月二三日大法廷判決判例集二巻七号七二二頁参照)から措置令が新憲法施行と同時にその効力を失うことにはならない。次に同措置令は法律と同一の効力を有するものであるから昭和二二年法律第七二号第一条にいわゆる命令にあたるものでなく、従つて昭和二二年一二月三一日を限り失効するものでないと解するを相当とする。
四 食糧緊急措置令第一一条は憲法第二九条に違反しない。

参照法条

 食糧緊急措置令11条,食糧緊急措置令第11条,食糧緊急措置令1条,憲法21条,憲法29条,旧憲法8条,昭和22年法律72号1条

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