裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和23(れ)983
- 事件名
強盗殺人
- 裁判年月日
昭和24年10月5日
- 法廷名
最高裁判所大法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第3巻10号1641頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和23年3月20日
- 判示事項
一 舊刑訴法による事件において公判廷外における被告人、辯護人からの證人、鑑定人等の取調の請求の性質
二 公判期日前被告人又は辯護人からなされた證據調の請求却下の決定をしない場合と上告理由
三 辯護人からの證人喚問請求の趣旨が公判廷において立證され十分取調べをしている場合に法廷外における右請求につき決定をしなかつたことの違法
四 囑託による委託判事の證人尋問期日を辯護人に通知しなかつたことと上告理由
- 裁判要旨
一 舊刑訴法の事件において公判廷外でする被告人、辯護人からの證人、鑑定人等の取調の請求は舊刑訴法上は同法第三二四條第三項に基き裁判所に對し同條第一項に規定する證據物若しくは證據書類の提出命令證人、鑑定人等に對する召喚状發布等の處分を請求することに歸するものと解すべきである。
二 被告人、辯護人から舊刑訴法第三二四條第一項の規定による處分の請求があつた場合裁判所が右請求を却下するときは決定をしなければならないことは同法第三二四條第四項の規定するところであるから、若し裁判所が右規定に違反し、右請求を容れないにも拘らずこれを却下する決定をしなかつたときは違法ではあるけれども、その違法は同法第四一〇條に規定する絶對上告理由となるものとはいえない。何となれば舊刑訴法第四一〇條第一四號にいわゆる「公判ニ於テ爲シタル證據調ノ請求」とは公判における同法第三四四條の場合を規定したもので公判外における同法第三二四條の場合を規定したものでないこと明文上明であるからである。
三 所論證人申請書を見ると、辯護人がその申出た證人により立證しようとするところは何れも、被告人の人となり、性格、素行、習癖等であると書いてある。しかるに本件については原審裁判所は職權により、若しくは辯護人の申請によつて二〇人餘の證人を尋問し、又被告人の精神鑑定をも命じているのであり、これ等證人の取調鑑定の結果によつて、所論證人申請により立證しようとする事項は十分に取調べられているのであるから、原裁判所が、法廷外で所論各證人の喚問の請求に對し何等決定をしなかつた違法は、本件では原判決に影響を及ぼさないこと明らかである。
四 囑託による委託判事の證人尋問期日を辯護人に通知しなかつたことが違法であるとしても判決において右證人尋問調書を證據にしていないときは、右違法は右判決に對する上告理由とならない。
- 参照法条
旧刑訴法324条1項,旧刑訴法324条3項,旧刑訴法324条4項,旧刑訴法410条14号,旧刑訴法344条,旧刑訴法324条,旧刑訴法411条
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