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高等裁判所 判例集

事件番号

 平成5(う)621

事件名

 覚せい剤取締法違反被告事件

裁判年月日

 平成6年5月11日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第一刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第47巻2号237頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一 搜索すべき場所を「甲方居室」とする捜索差押許可状に基づきその場に現在する者の着衣ないし身体を捜索することが適法であるとされた事例
二 捜索差押許可状に基づき捜索した結果差し押さえる物以外の覚せい剤と思われる結晶を発見した場合においてその所持者と疑われる者の同意を得ることなくいわゆる予試験を実施したとしても違法でないとされた事例

裁判要旨

 一 捜索すべき場所を「甲方居室」とする捜索差押許可状に基づき捜索した場合において、その場に現在する乙が両手をズボンのポケットに突っ込んだままという挙動を続けていて、そのポケット内に差し押さえるべき物を隠匿している疑いがきわめて濃厚であり、かつ、乙が部屋を出て行く素振りを見せ激しく抵抗してその場を逃れようとし、捜査官の目の届かない所でポケット内の物を廃棄するなどの行為に出る危険性が顕著に認められるなど判示の具体的状況があるときは、捜査官が乙の着衣ないし身体を捜索することは適法である。
二 捜索差押許可状に基づき捜索した結果、差し押さえるべき物以外の覚せい剤と思われる結晶を発見した場合において、当該結晶の形状、包装などからいわゆる予試験の結果をまつまでもなくそれが覚せい剤である蓋然性がきわめて高く、かつ、その所持者と疑われる者が所持の事実を否定したため、その場にいた他の者らに予試験の趣旨を説明してその同意を得たなど判示の具体的状況があるときは、所持者と疑われる者の同意を得ることなく予試験を実施したとしても、違法とはいえない。

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