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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成16(行コ)388

事件名

 規則変更認証処分取消請求控訴事件(原審・長野地方裁判所平成15年(行ウ)第19号)

裁判年月日

 平成17年4月28日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 包括宗教法人が,自己の被包括宗教法人であった訴外宗教法人が当該被包括関係を廃止した後,その名称の一部に自己の名称を使用する名称に変更する旨規則を変更することについて,知事がした認証処分が,宗教法人法28条1項1号が規定する「その変更しようとする事項がこの法律その他の法令の規定に適合」しているとの要件が具備されていないことを看過してされたもので違法であるとしてした前記処分の取消請求が棄却された事例 2 宗教法人甲が,自己の被包括宗教法人であった訴外宗教法人乙が当該被包括関係を廃止し,その後に規則を変更したことについて,知事がした認証処分が,宗教法人法28条1項2号が規定する「その変更の手続が第26条の規定に従つてなされていること」という要件が具備されていないことを看過してされたもので違法であるとしてした前記処分の取消請求が棄却された事例

裁判要旨

 1 包括宗教法人が,自己の被包括宗教法人であった訴外宗教法人が当該被包括関係を廃止した後,その名称の一部に自己の名称を使用する名称に変更する旨規則を変更したのは,当該包括宗教法人の人格権を侵害し,また,不正競争防止法2条1項1号,2号に違反するものであり,その違法性は認証申請に係る申請書類等から明らかであるから,前記変更についての知事の認証処分は,宗教法人法28条1項1号が規定する「その変更しようとする事項がこの法律その他の法令の規定に適合」しているとの要件が具備されていないことを看過してされたもので違法であるとしてした前記処分の取消請求につき,同法26条1項後段所定の宗教法人が被包括関係を廃止しようとする場合に,規則の変更についての同法28条1項1号所定の要件の審査において,不正競争防止法2条1項1号,2号該当を理由に規則の変更の認証をしないことは,被包括関係を廃止しようとする宗教法人と包括宗教法人団体との間の対等な競争関係の成立を許さない結果を生ずるから適切でなく,また,前記審査に当たって宗教団体の名称を他の団体に使用されない利益を考慮することは,信教の自由,信教に関する結社の自由に及ぼす影響が大であることにかんがみ,他の宗教団体がその名称について有する利益の侵害が明白である場合に限り,法令の規定に適合しているものとはいえないものと解するの相当であるところ,前記の名称使用が明白に法令に適合しないということはできないとして,前記請求を棄却した事例 2 宗教法人甲が,自己の被包括宗教法人であった訴外宗教法人乙が当該被包括関係を廃止し,その後に規則を変更したことについて,知事がした認証処分が,宗教法人法28条1項2号が規定する「その変更の手続が第26条の規定に従つてなされていること」という要件が具備されていないことを看過してされたもので違法であるとしてした前記処分の取消請求につき,前記規則変更は,訴外宗教法人乙の変更前の規則により要求されている「訴外宗教法人丙代表役員の同意」を得ることなくされているところ,宗教法人甲が,訴外宗教法人丙の包括宗教法人であって,訴外宗教法人丙やその代表役員に対する強い支配力や影響力を有していることからすると,当該同意についても包括宗教団体の制約条項の効力停止を定めた同法26条1項後段の趣旨が妥当するといえるから,当該同意は,同項が定める包括宗教団体の「一定の権限」に該当し,訴外宗教法人乙の認証申請については,同項後段により当該同意を経る必要はないことから,同申請に係る事項は「その変更の手続が第26条の規定に従つてなされていること」の要件を具備しているものと認められるとして,前記請求を棄却した事例

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