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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成10(行ウ)47

事件名

 三田小学校施設使用損害代位請求事件

裁判年月日

 平成12年2月29日

裁判所名

 神戸地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 市教育委員会教育総務部教育総務課課長が専決によりした市立学校施設の教育施設目的外使用許可が,住民訴訟の対象となる財務会計上の行為に当たらないとされた事例 2 市教育委員会教育総務部教育総務課課長が神社の正遷宮行事の参加者休憩場所及び駐車場として学校施設の使用を許可し,その使用料を免除したことが違法であるとして,同課長個人に対してされた損害賠償請求が,棄却された事例

裁判要旨

 1 市教育委員会教育総務部教育総務課課長が専決によりした市立学校施設の教育施設目的外使用許可は,行政財産である小学校施設の目的外使用を施設管理者の見地から許可する教育行政担当者としての行為であることが明らかであって,学校施設の財産的価値に着目し,その価値の維持,保全を図る財務的処理を直接の目的とする財務会計上の行為としての財産管理行為には当たらないとして,地方自治法242条の2に定める住民訴訟の対象となる行為に当たらないとした事例 2 市教育委員会教育総務部教育総務課課長が神社の正遷宮行事の参加者休憩場所及び駐車場として学校施設の使用を許可し,その使用料を免除したことが違法であるとして,同課長個人に対してされた損害賠償請求につき,同人のした使用許可,使用料の免除は,その使用目的及び効果にかんがみ,宗教とのかかわり合いが,我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものとは認められず,憲法上の政教分離原則及びそれに基づく政教分離規定に違反するものではないと解するのが相当ではあるが,正遷宮は神事も執り行われる神社の祭事にほかならず,正遷宮実行委員会は,宗教的色彩を帯びた組織であり,自治体などの公益的組織,団体と異なるものであることは明らかであるから,同実行委員会に学校施設を使用させる場合は,三田市立学校施設目的外使用条例(昭和37年三田市条例第9号)が定める使用料を減免できる「公益のために使用する場合」に該当しないと解するのが相当であり,前記課長が,前記条例の「公益のために使用する場合」に該当すると判断して使用料を免除したことは,その判断を誤り,市に使用料相当額の損害を被らせたものではあるが,職員が地方自治法243条の2第1項に定める事項以外の職務の遂行について行った違法行為により地方公共団体に損害を与えた場合についても,職員は,違法行為をするにつき故意又は重大な過失があった場合に限り損害賠償責任を負うものと解すべきであり,前記実行委員会による使用は,行事参加者が地域の住民であって,現実には自治会の地域活動の性格をも併せ有するものであることからすると,前記使用料の免除が前記条例に違反するか否かを極めて容易に判断しうることができたとまではいえないから,前記課長が使用料を免除したことは,その判断を誤ったものではあるが,著しく注意義務を怠ったものとして重大な過失があったということはできないとして,前記請求を棄却した事例

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