裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成8(行ウ)36
- 事件名
損害賠償代位請求事件
- 裁判年月日
平成11年1月28日
- 裁判所名
東京地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
市が下水道施設建設工事を委託した日本下水道事業団に支払った請負代金の額が,同事業団及び業者間の談合により不当に高額となったため,市は,談合がなければ形成されたであろう代金額と実際の代金額との差額相当分の損害を被ったにもかかわらず,同事業団及び業者に対する損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとしてされた住民監査請求が,請求期間を徒過したものであり,これに正当な理由はないとされた事例
- 裁判要旨
市が下水道施設建設工事を委託した日本下水道事業団に支払った請負代金の額が,同事業団及び業者間の談合により不当に高額となったため,市は,談合がなければ形成されたであろう代金額と実際の代金額との差額相当分の損害を被ったにもかかわらず,同事業団及び業者に対する損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとしてされた住民監査請求につき,同監査請求は,市と同事業団との間の前記委託に係る各実施年度の協定の締結が,談合により,委託の目的達成のための必要最少限度の経費を超える額でされたとの客観的な違法に基づいて発生する損害賠償請求権の不行使をもって地方自治法242条1項にいう「財産の管理を怠る事実」とするものであるから,監査請求期間は当該協定の締結時を基準として判断すべきであり,これによると,同監査請求は請求期間を徒過してされたものであるところ,前記談合に関する新聞報道の経緯に照らせば,住民が相当の注意力をもって調査したときには,公正取引委員会が前記業者に対し課徴金納付命令を発したことが報道された時点までには,前記請負代金額が談合によるものではないかとの疑いを持つに足りる事実を知ることができたものというべきであるから,同時点から4か月余りを経過してされた同監査請求には,請求期間を徒過したことに正当な理由があるとはいえないとした事例
- 全文