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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成6(行コ)133

事件名

 障害年金請求却下処分取消請求控訴事件

裁判年月日

 平成10年9月29日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 第二次世界大戦中に日本軍属として戦傷を受け,障害を負ったいわゆる在日韓国人がした戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づく障害年金請求に対し,厚生大臣が同人には同法の適用がないとしてした却下処分が,適法とされた事例

裁判要旨

 第二次世界大戦中に日本軍属として戦傷を受け,障害を負ったいわゆる在日韓国人がした戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づく障害年金請求に対し,厚生大臣が同人には同法の適用がないとしてした却下処分につき,同法附則2項所定のいわゆる戸籍条項は,その立法理由等からすると立法時において憲法14条1項及び市民的及び政治的権利に関する国際規約26条に違反せず,また,日本国との平和条約の発効によりいわゆる分離独立地域の独立が認められたことに伴い,同地域に属する住民の日本国籍を一律に喪失させ,日本国の軍人,軍属としての補償問題は別途同地域における施政当局との外交交渉にゆだねたことも合理性のある政策判断であって,高度の政治的判断を要する立法政策の当否の問題であるから,前記附則2項を廃止せず,在日韓国人について何らの補償措置を講じないまま放置したことも違法とはいえず,さらに,財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和40年条約第27号)によっても在日韓国人の補償問題について明確な解決がされず,何らの措置が採られなかったとしても,このことから当然に前記附則に合理性がないとはいえない上,前記補償問題は,外交問題も関係した高度な政治問題であって,この問題は前記協定による解決対象に含まれるとする日本政府の解釈にも相応の根拠がある以上,前記附則2項が,前記協定締結後,平等原則違反により特定の者との間でのみ失効したと解されるほど,その立法が合理性を有するものとは考えられない程度の著しい不平等状況に達しているとは断定できないとして,前記処分を適法とした事例

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