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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成1(ネ)199

事件名

 老齢年金支給請求控訴,同参加事件

裁判年月日

 平成3年6月26日

裁判所名

 札幌高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 既に基本権たる年金受給権については裁定を受けたものの,何らかの事由により未支給となっている国民年金法(昭和60年法律第34号による改正前)に基づく老齢年金の支払を求める訴訟の係属中に当該訴訟を提起した年金給付の受給権者が死亡した場合,相続人は当該訴訟の当事者たる地位を当然に承継するか 2 既に基本権たる年金受給権について裁定は受けたものの,国民年金法(昭和60年法律第34号による改正前)20条の規定により支分権たる年金請求権の行使につき支給停止の措置が執られている同法の老齢年金につき,同法20条の規定ひいてはこれに基づく支給停止の措置が違憲無効であるとして,停止期間中の年金の支払を求める訴えが係属中,当該訴訟を提起した年金給付の受給権者が死亡した場合には,その死亡によって当該訴訟は終了したものであるから,相続人が同法19条1項により未支給年金請求権を取得したとして民事訴訟法73条により訴訟に参加する余地はないとした事例

裁判要旨

 1 既に基本権たる年金受給権については裁定を受けたものの,何らかの事由により未支給となっている国民年金法(昭和60年法律第34号による改正前)に基づく老齢年金の請求権は,受給権者の一身専属的な権利で,相続の対象となる余地はないものであり,また,同法19条の規定も,遺産相続とは全く別個のものとして,死亡した受給権者と生計を同じくしていた一定の範囲の遺族に自己の名で未支給年金の支給を請求できる権利を付与したものにすぎず,同条からはせいぜい未支給年金請求権の特定承継があったものと擬することができるにとどまるから,未支給老齢年金の支払を求める訴訟の係属中に当該訴訟を提起した年金給付の受給権者が死亡した場合,相続人は,当該訴訟の当事者たる地位を当然に承継するものではない。

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