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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成15(行ウ)429等

事件名

 再審不開始処分等取消等,再審不開始処分取消,訴えの追加的併合申立

裁判年月日

 平成17年11月25日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 出入国管理及び難民認定法(平成16年法律第73号による改正前)49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を受けた外国人と婚姻した日本人は,前記裁決の無効確認の訴えの原告適格を有しないとされた事例 2 在留特別許可を付与すべき旨を命ずることを求める訴えが,行政事件訴訟法3条6項1号に規定されたいわゆる非申請型義務付け訴訟に当たるとした上,適法であるとされた事例

裁判要旨

 1 出入国管理及び難民認定法(平成16年法律第73号による改正前)49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を受けた外国人と婚姻した日本人の,前記裁決の無効確認の訴えにつき,法務大臣が前記裁決をするに当たって,容疑者が日本人又は永住資格者等の配偶者であるか否かということは,主要な考慮要素の一つにはなり得るが,それを超えるものではなく,また,同法2条の2,同法別表第2所定の「在留資格」の一つとして,「日本人の配偶者等」が定められているが,この在留資格とは,当該外国人自身の立場に着目した規定であり,当該外国人の配偶者たる日本人の権利,利益を保護するための規定ではない上,前記裁決の関係条項でもないことは明らかであり,そのほか,外国人の配偶者である日本人の婚姻関係上の権利,利益や介護上の利益等を保護すべきものとする趣旨を含むと解される同法の規定やこれと目的を同じくする関係法令の規定は存在せず,前記裁決の関係法令が前記婚姻関係上の権利,利益や介護上の利益を保護すべきものとする趣旨を含むと解すべき根拠はないことから,同法が在留特別許可又は前記裁決との関係において,外国人の配偶者である日本人の有する,本邦において当該外国人と同居し婚姻生活を営む権利,利益や,扶養ないし介護上の利益等を具体的に保護すべきものとする趣旨を含むと解することはできないのであるから,行政事件訴訟法9条2項に定める事項を参酌,勘案しても,当該外国人の配偶者である日本人が,婚姻生活の維持や同居の必要性等を主張して前記裁決の無効確認を求める訴えの原告適格を有するということはできないとした事例 2 出入国管理及び難民認定法24条4号ロに該当するとされたバングラデシュ人民共和国の国籍を有する外国人が,同法(平成16年法律第73号による改正前)49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を受けて退去強制令書発付処分を受けた後に,日本人との婚姻の成立を理由とする在留特別許可の付与についての再度の審査の申入れをしたところ,前記裁決を取り消す余地はない旨の通知を受けたため,前記外国人が前記通知の取消しを求める訴えとともに提起した法務大臣から権限の委任を受けた入国管理局長が在留特別許可を付与すべき旨を命ずることを求める訴えにつき,同法24条に該当する外国人には自己を在留させることを法務大臣等に求める権利はなく,在留特別許可を求める上申ないし申請は,行政事件訴訟法3条6項2号に規定された「行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求」には当たらず,前記訴えは,同項1号に規定された,いわゆる非申請型義務付け訴訟に該当すると解するのが相当であるとした上,前記裁決がされた時点では,在留特別許可をすべきであるという事情がいまだ存在せず,その後の事情変更により当該事情が生じたという場合には,出入国管理及び難民認定法(平成16年法律第73号による改正前)49条1項の異議の申出に理由がない旨の裁決又はこれを前提とする退去強制令書発付処分の取消訴訟を提起しても勝訴することはできず,同取消訴訟によって目的を達することができないのは明らかであるところ,前記外国人は,前記裁決後に日本人との婚姻が成立したという前記裁決後に生じた事情を考慮に入れて在留特別許可の付与の当否について再度の審理を行った上で,在留特別許可を与えるべきである旨主張しているのであるから,行政事件訴訟法37条の2第1項の「その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り,提起することができる」との要件を充たし,さらに,同項の「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれ」も認められるとして,前記訴えを適法であるとした事例

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