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最高裁判所判例集

事件番号

 平成14(行コ)72

事件名

 各条例無効確認,損害賠償請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成12年(行ウ)第45号,第55号,平成13年(行ウ)第98号)

裁判年月日

 平成17年12月19日

法廷名

 東京高等裁判所

裁判種別

結果

判例集等巻・号・頁

原審裁判所名

原審事件番号

原審裁判年月日

判示事項

 1 分譲マンションの建設等を業とする会社が,国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例(平成12年国立市条例第1号)のうち,建築物の高さの最高限度を20メートルとする部分は違法であるとして,その無効確認又は取消しを求めた訴えが,訴えの利益を欠くとされた事例 2 分譲マンションの建設等を業とする会社が,同社のマンション建築計画を市長が漏えいしたこと,都市計画法(平成11年法律第87号による改正前)20条に基づき告示された市の地区計画及び国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例(平成12年国立市条例第1号)が制定されたこと,市長が前記マンションを違反建築物と公言したこと,市長が都建築主事に対し,前記マンションのうち高さが20メートルを超える部分について,電気,ガス及び水道の供給の承諾を留保するよう働きかけたこと等により損害を被ったとして,国家賠償法1条1項に基づいて市に対してしたその賠償請求が,一部認容された事例

裁判要旨

 1 分譲マンションの建設等を業とする会社が,国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例(平成12年国立市条例第1号)のうち,建築物の高さの最高限度を20メートルとする部分は違法であるとして,その無効確認又は取消しを求めた訴えにつき,具体的,現実的な争訟の解決を目的とする現行訴訟制度のもとでは,その訴訟形態が法定の抗告訴訟,当事者訴訟又は無名抗告訴訟であるかを問わず,当該法令によって,侵害を受ける権利の性質及びその侵害の程度,違反に対する制裁としての不利益処分の確実性及びその内容又は性質等に照らし,同処分を受けてからこれに関する訴訟の中で事後的に当該法令の効力を争ったのでは回復し難い重大な損害を被るおそれがある等,事前の救済を認めないことが著しく不相当とする特段の事情がある場合でない限り,あらかじめ当該法令の効力の有無の確定を求める法律上の利益はないというべきであるとした上,前記訴えは,同条例に違反することとなることに伴う何らかの不利益処分が行われるのを防止するために,同条例の無効をあらかじめ確定しておく趣旨のものと解されるが,同社の建築する建物に対して同条例が適用され,違法建築であるとして建築基準法9条1項による是正命令権限が行使されたり,将来における同建物の建替え等の際に建築確認申請等に対する拒否処分がされたりした場合に,それらの効力を争う中で同条例の効力を問題とすれば足り,不利益処分を待って同条例の効力を争ったのでは回復し難い重大な損害を被るおそれがある等の特段の事情があるとはいえないとして,前記訴えを却下した事例 2 分譲マンションの建設等を業とする会社が,同社のマンション建築計画を市長が漏えいしたこと,都市計画法(平成11年法律第87号による改正前)20条に基づき告示された市の地区計画及び国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例(平成12年国立市条例第1号)が制定されたこと,市長が前記マンションを違反建築物と公言したこと,市長が都建築主事に対し,前記マンションのうち高さが20メートルを超える部分について,電気,ガス及び水道の供給の承諾を留保するよう働きかけたこと等により損害を被ったとして,国家賠償法1条1項に基づいて市に対してしたその賠償請求につき,同社だけが前記地区計画の影響を受けるわけではなく,また,前記地区は歴史的に景観を重視する地域であり,仮に,前記地区計画が決定されず,前記条例が成立しなかったとしても,後に同内容の規制がされる可能性は十分に存在すること等から,前記地区計画の決定及び条例の制定それ自体をとらえて市の不法行為が成立すると解することは困難であるが,前記各行為を全体としてみれば,前記マンションの建築,販売を阻止することを目的とする行為であり,かつ,その態様は地方公共団体及びその首長に要請される中立性,公平性を逸脱し,急激かつ強引な行政施策の変更であり,また,異例かつ執拗な目的達成行為であって,地方公共団体又はその首長として社会通念上許容される限度を逸脱した違法な行為であるとして,販売が遅れたことによる固定資産税等の経費の損害について,民事訴訟法248条に基づいて認定された額の限度で一部認容し,また,市長の前記公言及び前記働きかけにより同社が違反建築物を建てる業者であるかのような印象を世間に与えてその信用を毀損したが,同社の強引とも受け取れる営業方針に対する反発や周辺住民による反対運動が同社の信用下落に寄与している部分もあるとして,同信用毀損による損害について,民事訴訟法248条に基づいて認定された額の限度で一部認容した事例

参照法条

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