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最高裁判所判例集

事件番号

 平成23(ネ)10002

事件名

 特許権侵害差止等請求控訴事件

裁判年月日

 平成23年9月7日

法廷名

 知的財産高等裁判所

裁判種別

結果

判例集等巻・号・頁

原審裁判所名

 東京地方裁判所

原審事件番号

 平成21(ワ)7718

原審裁判年月日

判示事項

裁判要旨

 判決年月日

平成23年9月7日

担当


知的財産高等裁判所 第3部


事件番号      事件番号

平成23年(ネ)10002号


○原審が請求を棄却した,発明の名称を「餅」とする特許権の侵害差止等請求訴訟の控訴審において,被告製品(切餅)が特許発明の技術的範囲に属すること及び特許が無効審判により無効にされるべきものとは認められないことを示した中間判決がされた事例

(関連条文)特許法70条,104条の3,民事訴訟法245条

控訴人(原審原告)は,被控訴人(原審被告)が被告製品を製造,販売及び輸出する行為が,発明の名称を「餅」とする本件特許権の侵害に当たると主張して,被告製品の製造,譲渡等の差止め及び損害賠償の支払を求めたのに対し,原審は,被告製品(切餅)は,本件特許発明の構成要件のうち「載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に,この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設け」との要件を充足しないから,本件特許発明の技術的範囲に属するものとは認められないとして,控訴人(原審原告)の請求をいずれも棄却した。これに対し,控訴人(原審原告)は,原判決の取消しを求めて,本件控訴を提起した。
本判決は,本件特許発明の構成要件のうち「載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に」との記載は,「側周表面」を特定するための記載であり,載置底面又は平坦上面に切り込み部等を設けることを除外する意味を有すると理解することは相当でなく,被告製品(切餅)は,切り込み部が対向二側面である側周表面の長辺部に形成されており,「焼き上げるに際して切り込み部13の上側が下側に対して持ち上がり,最中やサンドウイッチのように上下の焼板状部の間に膨化した中身がサンドされている状態に膨化変形することで膨化による外部への噴き出しを抑制する」構成となっているものと認められ,本件特許発明の技術的範囲に属すると判断した。
さらに,本判決は,本件特許の出願前に,被控訴人(原審被告)により側周面に切込みを入れた切餅が販売された事実を認めることはできず,本件特許発明は,本件特許出願前に公然実施をされた発明又は公然知られた発明とはいえず,また,本件特許出願前に公然実施をされた発明又は公然知られた発明に基づき容易に想到できたともいえないと判断した。
その上で,損害賠償請求に係る損害額の算定及び差止請求の範囲等について,さらに審理を続けるために中間判決をした。


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参照法条

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