裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成13(行ウ)16
- 事件名
生活保護費返還決定処分取消請求事件
- 裁判年月日
平成13年9月7日
- 法廷名
大阪地方裁判所
- 裁判種別
- 結果
- 判例集等巻・号・頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
- 判示事項
福祉事務所が,生活保護法63条に基づいてした,交通事故の慰謝料として保険会社から受領した金銭の大部分を収入として認定し,同額を返還すべき額として定める旨の処分が,適法とされた事例
- 裁判要旨
福祉事務所が,生活保護法63条に基づいてした,交通事故の慰謝料として保険会社から受領した金銭の大部分を収入として認定し,同額を返還すべき額として定める旨の処につき,同法63条にいう「資力」とは,同法8条にいう「金銭又は物品」あるいは同法4条1項の「その利用しうる資産,能力その他あらゆるもの」であって最低限度の生活を維持するために活用されるべきものを有することと同義であり,その要件の充足の判断は原則として行政庁の裁量にゆだねられているが,個々の財産の内容,性質,取得の経緯,使用態様等を総合的に考慮して収入として認定し返還を義務付けることが最低限度の生活保障又は要保護者の自立助長という法の目的に反する場合には,裁量権の逸脱濫用として違法となるとした上,精神的損害を被ったことにより財産的利益が減少するわけではないので,慰謝料を収入として認定しても最低限度の生活を保障するとの法の目的に反するものではなく,また,慰謝料をパソコン等購入のために要保護者に保有させることが自立助長に資するものであることを認め得る証拠はなく,慰謝料を収入と認定しても要保護者の自立助長を図るとの法の目的にも反するとはいえないから,行政庁の判断に裁量権の逸脱濫用はないとして,前記処分を適法とした事例
- 参照法条
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