裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成8(行ウ)68
- 事件名
損失補償請求事件
- 裁判年月日
平成9年2月27日
- 法廷名
東京地方裁判所
- 裁判種別
- 結果
- 判例集等巻・号・頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
- 判示事項
1 補償金額の算定基準時につき,都市計画事業の認可又は承認の告示の時に固定することなく,同告示の時を算定基準時としつつも,その時から1年を経過した日ごとに同告示があったものとみなして同算定基準時を順次移動させる旨を定める都市計画法71条の憲法29条3項適合性 2 被収用者が起業者である東京都に対してした土地収用に係る損失補償増額請求が棄却された事例
- 裁判要旨
1 土地の収用における損失の補償は,被収用者が収用後において近傍に被収用地と同等の代替地を取得するに足りるものでなければならないという憲法29条3項の要請からは,補償金の算定基準時と支払時は可及的に一致させることが必要となるのであって,土地収用法71条においては補償金額の算定基準時を事業の認定の告示の時としており,地価の一般的な下落局面においては,これによることが被収用者にとって有利となるが,同条の主要な眼目は起業利益の帰属の適正化にあり,被収用地と同等以上の代替地を取得するに足りる補償金を得る権利を認めようとするものではないのであり,また,都市計画法69条,土地収用法46条の2により,前記のような局面においては,土地収用法の場合と同様,被収用者は補償金の支払請求の方法によることも可能なのであるから,都市計画法が,都市計画事業の認可又は承認の告示の時を補償金の算定基準時とした上,同法71条で,前記告示があった日から1年を経過した日ごとに,前記告示があったものとみなして前記算定基準時を順次移動させることとし,前記算定基準時と支払時との時差を1年以内とする方式を採用したことは,憲法29条3項に違反するものではない。 2 被収用者が起業者である東京都に対してした土地収用に係る損失補償増額請求につき,補償金額の算定基準時における当該土地の価格は,権利取得裁決に係る価格を上回らず,また,前記基準時から前記裁決時までの物価変動率等も相当であるとして,前記請求を棄却した事例
- 参照法条
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