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最高裁判所判例集

事件番号

 平成1(行ウ)181

事件名

 損害賠償請求事件

裁判年月日

 平成3年3月27日

法廷名

 東京地方裁判所

裁判種別

結果

判例集等巻・号・頁

原審裁判所名

原審事件番号

原審裁判年月日

判示事項

 1 地方税法348条2項ただし書の「有料」の意義 2 地方税法348条2項ただし書が,固定資産を有料で借り受けた者がこれを同項各号の固定資産として使用する場合について「固定資産税を課することができる。」と規定している趣旨 3 地方公共団体が地方税法6条1項に基づいて固定資産税を非課税とするには,その旨の条例の定めを要するか 4 市長がある年度分の固定資産税を賦課していないことは違法であり,市はこれと同額の損害を被ったとして,市長個人に対し損害賠償を求めた住民訴訟につき,前記固定資産税を賦課していないことは違法ではあるが,その状態が今後も継続し,賦課決定をすることのできる期間が経過してしまわない限り,市に損害が発生したものということはできないとした事例

裁判要旨

 1 地方税法348条2項ただし書の「有料」とは,固定資産の貸借契約において,借主が貸主に対しその貸借に牽連性を有する一定の金員を支払う旨の合意をし,その合意に基づいて契約上の債務としてその金員が支払われれば足り,その金員の額がその貸借に見合うものとはいい得ないときであっても,有料と解することに妨げはないというべきである。 2 地方税法348条2項ただし書が,固定資産を有料で借り受けた者がこれを同項各号の固定資産として使用する場合について「固定資産税を課することができる。」と規定している趣旨は,市町村に対し,固定資産税を賦課するか,賦課しないか,賦課するとした場合にどの範囲で賦課するかの裁量を認めたものと解されるが,それはあくまでも,市町村が条例によって決めるべきものであって,市町村の条例において,同ただし書を受けて「固定資産税を課する。」旨が規定されている場合についてまで,賦課権者に裁量を認めたものと解すべきではない。 3 地方税法6条1項は,個々の地方団体に対し,公益上その他の事由があるときはその独自の判断により,一定の範囲で課税しないことを認めているが,他方において,同法3条1項は,地方団体が,その地方税の税目,課税客体,課税標準,税率その他賦課徴収について定めをするには,当該地方団体の条例によらなければならないと規定しているから,地方公共団体が地方税法6条1項に基づいて固定資産税を非課税とするには,条例をもってその旨を定めなければならない。

参照法条

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