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最高裁判所判例集

事件番号

 平成17(受)530

事件名

 損害賠償請求事件

裁判年月日

 平成18年4月20日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集民 第220号165頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成16(ネ)2205

原審裁判年月日

 平成16年12月15日

判示事項

 1 情報公開条例に基づき開示請求がされた公文書に虚偽の情報が記載されていた場合において県の担当職員が当該公文書の記載内容の真否を調査せずに当該情報が同条例の定める非開示情報に当たると判断したことが国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
2 情報公開条例に基づき一部非開示決定がされた公文書に虚偽の情報が記載されていた場合において実施機関がこの事実を知った後も同決定を取り消すことなく同決定に係る取消訴訟に応訴したことが国家賠償法上違法とはいえないとされた事例

裁判要旨

 1 静岡県公文書の開示に関する条例(平成元年静岡県条例第15号。平成12年静岡県条例第58号による全部改正前のもの)に基づき開示請求がされた公文書に記載された情報が虚偽であった場合において,同条例には開示請求に係る公文書の記載内容の真否を調査すべき旨の定めはなく,かえって,公文書の開示の可否は原則として開示請求書を受理した日から15日以内に決定しなければならないと定められており,公文書の開示請求はその性質上多数の文書を一括してすることが予定されているなど判示の事情の下においては,静岡県の担当職員が上記開示請求に係る公文書に記載された内容の真否を調査せずにその記載内容に基づき当該情報が同条例9条8号の非開示情報に当たると判断したことは,職務上通常尽くすべき注意義務を怠ったものということはできず,国家賠償法上違法とはいえない。
2 静岡県公文書の開示に関する条例(平成元年静岡県条例第15号。平成12年静岡県条例第58号による全部改正前のもの)に基づき一部非開示決定がされた公文書につき,同条例9条8号所定の非開示情報に該当することを理由に非開示とされた情報が虚偽であった場合において,実施機関である静岡県知事が上記情報が虚偽であることを知った後も同決定を取り消すことなく同決定に係る取消訴訟に応訴したことは,当該公文書が同訴訟の対象となった公文書のうちの一部であって,同訴訟においては,他の公文書についても同じ非開示情報該当性が争点となっていた上,当該公文書に記載された上記情報以外の情報についても別の非開示情報該当性が争点となっており,同訴訟の判決において知事の主張が認められた部分や最終的に知事の勝訴が確定した部分もあること,知事が同訴訟において虚偽の主張立証をしたこともうかがわれないことなど判示の事実関係の下においては,国家賠償法上違法とはいえない。
(1につき,補足意見及び反対意見がある。)

参照法条

 (1,2につき) 国家賠償法1条1項,静岡県公文書の開示に関する条例(平成元年静岡県条例第15号。平成12年静岡県条例第58号による全部改正前のもの)9条8号 (1につき) 静岡県公文書の開示に関する条例(平成元年静岡県条例第15号。平成12年静岡県条例第58号による全部改正前のもの)7条

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