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最高裁判所判例集

事件番号

 平成17(受)614

事件名

 理事長選任互選不存在確認等請求事件

裁判年月日

 平成18年7月10日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集民 第220号689頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成16(ネ)1681

原審裁判年月日

 平成16年12月1日

判示事項

 1 社会福祉法人において退任した理事が後任理事の選任をすることができる場合
2 社会福祉法人において退任した理事が定款で後任理事の選任に必要とされている同意をすることができるとされた事例

裁判要旨

 1 社会福祉法人が理事の退任によって定款に定めた理事の員数を欠くに至り,かつ,定款の定めによれば,在任する理事だけでは後任理事を選任するのに必要な員数に満たないため後任理事を選任することができない場合において,仮理事の選任を待つことができないような急迫の事情があり,かつ,退任した理事と当該法人との間の信頼関係が維持されていて,退任した理事に後任理事の選任をゆだねても選任の適正が損なわれるおそれがないときには,民法654条の趣旨に照らし,退任した理事は,後任理事の選任をすることができる。
2 社会福祉法人が,理事定数を10名から6名に変更する旨の定款変更決議をし,所轄庁の認可を受けないうちに定款変更の効力が生じるとの誤解により,4名の理事について後任理事を選任しなかったので,その任期の満了による退任により,理事会の開催及び後任理事の選任に必要な理事の員数を欠くに至った場合において,(1)理事らが上記誤解に気が付いた時点では,当該年度の収支補正予算案や次年度の収支予算案等の重要議案を審議することが予定されていた理事会の開催を3日後に控えており,仮理事選任手続を了するまで理事会において当該法人の意思決定ができない状態が続くとすれば,当該法人に著しい不利益が生じるおそれが顕著であったこと,(2)任期満了により退任した4名の理事は,退任後も評議員として活動していたことなど判示の事実関係の下では,退任した理事は,上記理事会開催の時点において,定款で後任理事の選任に必要とされている同意をすることができる。

参照法条

 (1,2につき)社会福祉法36条1項,2項,社会福祉法45条,民法56条,民法654条

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