裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成17(受)1016
- 事件名
損害賠償請求事件
- 裁判年月日
平成18年9月4日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
集民 第221号63頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成16(ネ)4055
- 原審裁判年月日
平成17年2月16日
- 判示事項
下請業者が施工業者との間で下請契約を締結する前に下請の仕事の準備作業を開始した場合において施主が下請業者の支出費用を補てんするなどの代償的措置を講ずることなく施工計画を中止することが下請業者の信頼を不当に損なうものとして不法行為に当たるとされた事例
- 裁判要旨
建物の建具の納入等についての下請業者が施工業者との間で下請契約を締結する前に下請の仕事の準備作業を開始した場合において,(1)竣工予定時期に間に合うよう下請の仕事を完成するためには,施主が施工業者を決定する前に上記準備作業を開始する必要があったこと,(2)施主は,設計監理者の説明を受けて,下請業者に上記準備作業の開始を依頼すること及び依頼後は別の業者を選ぶことができなくなることを了承していたこと,(3)下請業者は,設計監理者から,上記のとおり施主の了承があった旨の説明を受けるとともに,直ちに上記準備作業を開始するよう依頼を受けたことから,上記準備作業を開始したことなど判示の事実関係の下では,下請業者が上記準備作業に要した費用等について設計監理者で負担するとの説明を受けていたなどの特段の事情のない限り,施主が,下請業者において下請契約を確実に締結できるものと信頼して支出した費用を補てんするなどの代償的措置を講ずることなく,将来の収支に不安定な要因があることを理由として施工計画を中止することは,下請業者の上記信頼を不当に損なうものとして,不法行為に当たる。
- 参照法条
民法1条2項,民法709条
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