裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成17(受)1612
- 事件名
損害賠償請求事件
- 裁判年月日
平成18年10月27日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
その他
- 判例集等巻・号・頁
集民 第221号705頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成14(ネ)4300
- 原審裁判年月日
平成17年5月25日
- 判示事項
未破裂脳動脈りゅうの存在が確認された患者がコイルそく栓術を受けたところ術中にコイルがりゅう外に逸脱するなどして脳こうそくが生じ死亡した場合において担当医師に説明義務違反がないとした原審の判断に違法があるとされた事例
- 裁判要旨
未破裂脳動脈りゅうの存在が確認された患者がコイルそく栓術を受けたところ,術中にコイルがりゅう外に逸脱するなどして脳こうそくが生じ,死亡した場合において,(1)その治療が予防的なものであったこと,(2)医療水準として確立していた療法としては,当時,開頭手術とコイルそく栓術が存在していたこと,(3)担当医師は,コイルそく栓術の術中に動脈りゅうが破裂した場合には救命が困難であり,このような場合にはいずれにせよ開頭手術が必要になるということなどの知見を有していたことがうかがわれること,(4)患者が開頭手術を選択した後の手術予定日の前々日のカンファレンスにおいて,開頭手術はかなり困難であることが新たに判明したことなど判示の事実関係の下では,上記カンファレンスの結果に基づき,その翌日にコイルそく栓術を実施した担当医師が,同手術を実施することの承諾を患者から得るに当たって,上記の知見や上記カンファレンスで判明した開頭手術に伴う問題点の具体的内容についての説明をした上で,開頭手術とコイルそく栓術のいずれを選択するのか,いずれの手術も受けずに保存的に経過を見ることとするのかを熟慮する機会を改めて与えたか否かなどの点を確定することなく,担当医師に説明義務違反がないとした原審の判断には,違法がある。
- 参照法条
民法709条
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