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最高裁判所判例集

事件番号

 平成16(行ヒ)50

事件名

 不当労働行為救済命令取消請求事件

裁判年月日

 平成18年12月8日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 集民 第222号585頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成15(行コ)37

原審裁判年月日

 平成15年11月6日

判示事項

 1 労働組合法2条1号所定の使用者の利益代表者に近接する職制上の地位にある者が使用者の意を体して労働組合に対する支配介入を行った場合における使用者の不当労働行為責任
2 労使協調路線を採る労働組合の組合員である新幹線運転所の指導科長(助役)が同運転所の従業員に対してした同労働組合と対立する労働組合からの脱退を勧める発言等をもって使用者の不当労働行為と認めることはできないとした原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨

 1 労働組合法2条1号所定の使用者の利益代表者に近接する職制上の地位にある者が使用者の意を体して労働組合に対する支配介入を行った場合には,使用者との間で具体的な意思の連絡がなくとも,当該支配介入をもって使用者の不当労働行為と評価することができる。
2 労使協調路線を採るA労働組合の組合員である新幹線運転所の指導科長(助役)が,A労働組合と対立するB労働組合の組合員である同運転所の従業員に対し,B労働組合からの脱退を勧めたり,B労働組合の組合員に対する使用者の働き掛けを容認するよう求めたりする発言をした場合において,(1)同運転所の科長は現場長である所長に次ぐ職制上の地位にあったこと,(2)A労働組合から脱退した者らがB労働組合を結成し,両者が対立する状況において,使用者はA労働組合に対し好意的であったこと,(3)上記発言には使用者の意向に沿って上司としての立場からされた発言と見ざるを得ないものが含まれていたことなど判示の事情の下では,上記発言がA労働組合の組合員としての発言であることが明らかであるなどの特段の事情が存在することについて首肯すべき説示をすることなく,上記発言をもって使用者の不当労働行為と認めることはできないとした原審の判断には,違法がある。

参照法条

 (1,2につき)労働組合法2条1号,労働組合法7条3号

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