裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成17(受)1841
- 事件名
保険金請求事件
- 裁判年月日
平成19年4月23日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
集民 第224号171頁
- 原審裁判所名
大阪高等裁判所
- 原審事件番号
平成16(ネ)3596
- 原審裁判年月日
平成17年6月2日
- 判示事項
1 「衝突,接触…その他偶然な事故」及び「被保険自動車の盗難」を保険事故として規定している一般自動車総合保険約款に基づき上記盗難に当たる保険事故が発生したとして車両保険金の支払を請求する場合における事故の偶発性についての主張立証責任
2 被保険自動車の盗難を理由に車両保険金を請求する者が主張立証責任を負う盗難の外形的事実について単に「外形的・客観的にみて第三者による持ち去りとみて矛盾のない状況」を立証するだけで盗難の事実が推定されるとした原審の判断には違法があるとされた事例
- 裁判要旨
1 「衝突,接触…その他偶然な事故」及び「被保険自動車の盗難」を保険事故として規定している一般自動車総合保険約款に基づき,上記盗難に当たる保険事故が発生したとして保険者に対して車両保険金の支払を請求する者は,「被保険者以外の者が被保険者の占有に係る被保険自動車をその所在場所から持ち去ったこと」という盗難の外形的な事実を主張,立証すべき責任を負うが,被保険自動車の持ち去りが被保険者の意思に基づかないものであることを主張,立証すべき責任を負わない。
2 「被保険自動車の盗難」という保険事故が発生したとして一般自動車総合保険約款に基づき車両保険金の支払を請求する者が,「外形的・客観的にみて第三者による持ち去りとみて矛盾のない状況」を立証するだけでは「被保険者以外の者が被保険者の占有に係る被保険自動車をその所在場所から持ち去ったこと」という盗難の外形的事実を合理的な疑いを超える程度にまで立証したことにはならないにもかかわらず,上記の立証をするだけで盗難の事実が推定されるとした原審の判断には,主張立証責任の分配に実質的に反する違法がある。
- 参照法条
(1,2につき) 商法629条,商法641条,民法91条,民訴法第2編第4章第1節 総則 (2につき) 民訴法247条
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