裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成18(受)276
- 事件名
不当利得返還等請求事件
- 裁判年月日
平成19年7月13日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
集民 第225号103頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成17(ネ)3075
- 原審裁判年月日
平成17年10月27日
- 判示事項
利息制限法1条1項所定の制限を超える利息を受領した貸金業者が,判例の正しい理解に反して貸金業の規制等に関する法律18条1項に規定する書面の交付がなくても同法43条1項の適用があるとの認識を有していたとしても,民法704条の「悪意の受益者」であるとする推定を覆す特段の事情があるとはいえないとされた事例
- 裁判要旨
利息制限法1条1項所定の制限を超える利息を受領した貸金業者が,その預金口座への払込みを受けた際に貸金業の規制等に関する法律18条1項に規定する書面を債務者に交付していなかったために同法43条1項の適用を受けられない場合において,当該貸金業者が,事前に債務者に約定の各回の返済期日及び返済金額等を記載した償還表を交付していれば上記書面を交付しなくても同項の適用があるとの認識を有していたとしても,当時既に存した判例(最高裁平成8年(オ)第250号同11年1月21日第一小法廷判決・民集53巻1号98頁)の説示によれば,同項の適用が認められるためには償還表が交付されていても上記書面が交付される必要があることは明らかであるなど判示の事情の下では,「上記書面の交付がなくても他の方法で貸付金の元金及び利息の内訳を債務者に了知させていたときには同項の適用が認められるとの見解が主張され,これに基づく貸金業者の取扱いも少なからず見られた」というだけで,上記認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるとはいえず,上記貸金業者は民法704条の「悪意の受益者」であるとする推定を覆すことはできない。
- 参照法条
民法704条,貸金業の規制等に関する法律18条1項,貸金業の規制等に関する法律43条1項,利息制限法1条1項
- 全文