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最高裁判所判例集

事件番号

 平成18(受)347

事件名

 無効確認等請求事件

裁判年月日

 平成19年7月13日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄自判

判例集等巻・号・頁

 集民 第225号117頁

原審裁判所名

 名古屋高等裁判所

原審事件番号

 平成16(ネ)982

原審裁判年月日

 平成17年11月15日

判示事項

 1 学校法人がその設置,運営する大学に勤務する教授に対し同教授の地元新聞紙上における発言等を理由としてした戒告処分が無効とされた事例
2 学校法人がその設置,運営する大学に勤務する教授に対し教授会への出席その他の教育諸活動をやめるよう求めた要請が業務命令に当たるとして,その無効確認を求める訴えが適法とされた事例
3 学校法人がその設置,運営する大学に勤務する教授に対し業務命令として教授会への出席その他の教育諸活動をやめるよう求めた要請が無効とされた事例

裁判要旨

 1 学校法人が,その設置,運営する大学に勤務する教授に対し,同教授の地元新聞紙上における発言等を理由として戒告処分をした場合において,上記発言が新聞紙上に掲載されても上記学校法人の社会的評価の低下毀損を生じさせるとは認め難いなど判示の事情の下では,上記戒告処分は懲戒権を濫用するものとして無効である。
2 学校法人が,その設置,運営する大学に勤務する教授に対し,教授会の決議を受けて,教授会への出席その他の教育諸活動をやめるよう求める要請をした場合において,上記学校法人の規程上,業務命令権の行使が教授会等の機関に専権的に委任されているとは認められないなど判示の事情の下では,上記要請は上記学校法人が使用者としての立場から上記教授に発した業務命令に当たり,その無効確認を求める訴えは適法である。
3 学校法人が,その設置,運営する大学に勤務する教授に対し,業務命令として,教授会への出席その他の教育諸活動をやめるよう求める要請をした場合において,それが制裁的意図に基づく差別的取扱いとみられてもやむを得ない行為であるなど判示の事情の下では,上記要請は,業務上の必要性を欠き,社会通念上著しく合理性を欠くものであって,業務命令権を濫用するものとして無効である。

参照法条

 (1につき)労働基準法89条 (2,3につき)民法623条,労働基準法第2章 労働契約 (2につき)民訴法134条

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