裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成19(受)611
- 事件名
損害賠償請求事件
- 裁判年月日
平成20年2月28日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
集民 第227号345頁
- 原審裁判所名
大阪高等裁判所
- 原審事件番号
平成18(ネ)1702
- 原審裁判年月日
平成18年12月13日
- 判示事項
少年Aが少年B及び少年Cから暴行を受けて死亡したことについて,暴行が行われている現場に居た少年Y1,Y4及びY7がAを救護するための措置を執るべき法的義務を負っていたとはいえないとされた事例
- 裁判要旨
少年A(当時16歳)が,少年B(当時15歳)及び少年C(当時17歳)から暴行を受け,3時間余り後に救急車で病院に搬送されたが,6日後に死亡した場合において,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,暴行が行われている現場に居た少年Y1,Y4及びY7(いずれも当時15歳)は,同少年らにAが死ぬかもしれないという認識があったとしても,救急車を呼んだり,第三者に通報するなど,Aを救護するための措置を執るべき法的義務を負っていたということはできない。
(1) Y1らは,いずれも,B及びCがAに暴行を加えていることや暴行に及んだ経緯を知らずに,B及びCに呼び出されて暴行が行われている現場に赴いたものであり,暴行の実行行為や共謀に加わっていないのみならず,積極的に暴行を助長するような言動も何ら行っていない。
(2) Y1らが,救急車を呼ばず,第三者に通報もしなかったのは,このことがB及びCに発覚して後日同人らから仕返しをされることを恐れたからであり,Y1らとB及びCとの関係や暴行の経過等からすると,そのような恐れを抱くのも無理からぬものがあった。
(3) 暴行が終わった後に,Cの指示により,Y1は,Aの体を移動させ,さらに,Y1らは,Aが気絶しているのを見付かりにくくするためであることを認識しながら,Aを壁にもたれかけさせて座らせたが,これもB及びCに対する恐れからしたものであるし,現場の状況等に照らすと,このことによってAの発見及び救護が格別困難になったということもできない。
(反対意見がある。)
- 参照法条
民法709条
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