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最高裁判所判例集

事件番号

 平成18(受)2056

事件名

 親子関係不存在確認請求事件

裁判年月日

 平成20年3月18日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 集民 第227号571頁

原審裁判所名

 名古屋高等裁判所

原審事件番号

 平成18(ネ)262

原審裁判年月日

 平成18年8月30日

判示事項

 大韓民国の国籍を有するAとその嫡出子として同国の戸籍に記載されているYとの間の実親子関係についてAの子であるXらが不存在確認請求をすることが権利の濫用に当たらないとした原審の判断に,同国の民法の解釈適用を誤った違法があるとされた事例

裁判要旨

 大韓民国の国籍を有するAの嫡出子として同国の戸籍に記載されているYがAの実子ではない場合において,次の(1)〜(4)などの判示の事情の下では,これらの事情を十分検討することなく,Aの子であるXらがAとYとの間の実親子関係不存在確認請求をすることが権利の濫用に当たらないとした原審の判断には,同国の民法の解釈適用を誤った違法がある。
(1) AとYとの間には30年以上にわたり実親子と同様の生活の実体があり,かつ,Xらは,Aの死亡の約10年後まではYがAの実子であることを否定したことがなく,Yとの間でAの遺産分割協議を成立させた。
(2) 判決をもってAとYとの間の実親子関係の不存在が確定されると,Yは軽視し得ない精神的苦痛及び経済的不利益を受ける可能性が高い。
(3) AはYとの間で実親子としての関係を維持したいと望んでいたことが推認されるのに,Aが死亡した現時点ではYがAとの間で養子縁組をすることも不可能である。
(4) Xらは,Yが取得したAの遺産の返還を求める訴訟を提起しており,前記実親子関係を否定するに至った動機,目的は,経済的なものであることがうかがわれる。

参照法条

 大韓民国民法2条2項,大韓民国民法865条1項,民法1条3項,民法772条,人事訴訟法2条2号

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