裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成20(行ヒ)97
- 事件名
損害賠償代位等請求事件
- 裁判年月日
平成21年4月28日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
集民 第230号609頁
- 原審裁判所名
大阪高等裁判所
- 原審事件番号
平成18(行コ)134
- 原審裁判年月日
平成19年11月30日
- 判示事項
市の発注した工事に関し談合をしたとされる業者らに対して市長が不法行為に基づく損害賠償請求権を行使しないことが違法な怠る事実に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例
- 裁判要旨
市の発注したごみ焼却施設の建設工事に関し業者らが談合をしたため市が損害を被ったにもかかわらず,市長が上記業者らに対する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとして,市の住民が地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第1項4号に基づき,市に代位して,怠る事実に係る相手方である上記業者らに対し損害賠償を求める訴訟において,次の(1)〜(3)などの判示の事情の下では,不法行為の成立を認定するに足りる証拠資料の有無等につき具体的に検討することなく,かつ,上記請求権の不行使を正当とするような事情が存在することにつき首肯すべき説示をすることなく,市長が上記請求権を行使しないことが違法な怠る事実に当たらないとした原審の判断には,違法がある。
(1) 上記訴訟の第1審判決前に公正取引委員会がした審決は,上記業者らのうち5社が地方公共団体の発注するごみ焼却施設の建設工事につき談合を行っていたとの事実を認定した上で,上記5社に対し排除措置を命ずるものであった。
(2) 上記訴訟の第1審判決は,上記5社が談合に関する基本合意に基づき市の発注した上記工事につき個別談合を行い,他の業者もこれに協力したという共同不法行為の事実を認定した上で,上記業者らに対する損害賠償請求を一部認容するものであった。
(3) 市長は,上記訴訟に提出された上記審決に係る審判事件の資料等を容易に入手することができた。
- 参照法条
地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第1項4号,地方自治法240条2項,地方自治法240条3項
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